2022年08月28日

オルガの翼   原題:OLGA

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(C)2021 POINT PROD - CINEMA DEFACTO

監督:エリ・グラップ
出演:アナスタシア・ブジャシキナ/サブリナ・ルフツォワ

2013年、ユーロマイダン革命直前のキーウ。15歳のオルガは体操欧州選手権での入賞を目指して、友人のサーシャと共にトレーニングに励む体操選手。ある日、トレーニング後、母の運転する車で家に向かう途中、突然激しく追突される。ジャーナリストの母イローナはヤヌコーヴィチ政権の汚職を追及していて、何者かに狙われたらしい。身の危険を案じた母の勧めで、オルガは亡き父の故郷スイスで、現地のナショナル・チームで欧州選手権を目指すことにする。フランス語とドイツ語が基本のチーム内で、オルガはうまくコミュニケーションが取れない。
ウクライナではユーロマイダン革命が激しさを増していき、オルガはタブレットやスマホで、抗議する群衆に警察の特殊部隊が武力行使に出ている映像を目にする。オンラインで話す友人サーシャの背後から「マイダンに栄光あれ」「ウクライナに自由を!」と叫ぶ群衆の声が聞こえてくる。革命に一緒に加わりたかったとオルガ。
欧州選手権が近づき、オルガはウクライナかスイス、いずれかの市民権を選ぶ決断を迫られる。結局、スイスのナショナルチームとして選手権に参加する。オルガはウクライナチームのサーシャと再会する。一方、ロシア選手団に移籍したかつてのコーチであるワシーリーとは、気まずい再会だった。
オルガは、好成績でメダルを獲得し、さらにオリンピックを目指すが、故郷の状況はさらに悪化。オンラインで話した母の顔は傷だらけ。母の元に帰るというが駄目だといわれる。はたしてオルガの下した決断は・・・

本作で描かれている背景は、2013年11月に首都キーウにある独立広場(ユーロマイダン)に市民が集まり出したことをきっかけに、2014年2月に親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領を追放した【ユーロマイダン革命】。
ウクライナのバイオリン奏者からユーロマイダン革命の話を聞いたグラップ監督が、深く心を動かされ、製作に着手。2016年の脚本執筆から5年をかけて完成させました。本作では、実際にデモ参加者がスマホで撮影した映像が使われています。
ウクライナの親EU運動は政権交代を実現させますが、そのことが2014年のロシアによるクリミア併合、そして、2022年3月のウクライナ本格侵攻へと繋がったことに、今さらながら気づかされます。
私にとって、広場を埋め尽くした【ユーロマイダン革命】が印象に残ったのは、ウクライナで広場をマイダンと呼ぶのだと知ったからでした。
ペルシア語で広場は「メイダーン」なのですが、もともとはアラビア語のマイダーンから来ていて、ウクライナや南ロシアでも、アラビア語起源でマイダーンというそうなのです。
アラブの春で、エジプトのタハリール広場(Maydan at Tahrir)を埋め尽くした民衆のことも思い出しました。
オルガが故国のために自分も広場に駆けつけたかったという思いが胸にしみました。ウクライナに早く平和が訪れますように・・・ (咲)



◆ユーロスペースにて 公開記念 豪華トークイベント開催
9月3日(土) エリ・グラップ監督(スイスよりオンラインで参加)
9月4日(日) 矢田部吉彦さん(前東京国際映画祭ディレクター)
9月10日(土)沼野恭子さん(東京外国語大学教授・ロシア文学)
9月11日(日)梶山祐治さん(本作字幕監修、ロシア・中央アジア映画研究者)
9月18日(日)廣瀬陽子さん(慶應義塾大学 総合政策学部 教授)


2021年/フランス=スイス=ウクライナ/ウクライナ語・ロシア語・仏語・独語・伊語・英語/カラー/90分
配給:パンドラ
公式サイトhttp://www.pan-dora.co.jp/olganotsubasa/
★2022年9月3日(土)渋谷ユーロスペースほか全国順次公開

posted by sakiko at 11:20| Comment(0) | ウクライナ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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