2022年08月21日
スワンソング(原題:Swan Song)
監督:脚本:トッド・スティーブンス
撮影:ジャクソン・ワーナー・ルイス
音楽:クリス・スティーブンス
ヘアメイク:リディア・カネ
出演:ウド・キアー(パトリック・ピッツェンバーガー)、ジェニファー・クーリッジ(ディー・ディー)、リンダ・エヴァンス(リタ)
パトリック・ピッツェンバーガーは、かつてヘアメイクドレッサーとして活躍していた。自分の美容院を持ち、「ミスター・パット」と呼ばれ、街の有名人だった。ゲイとして生きてきた彼は、最愛のパートナーであるデビッドを早くにエイズで亡くし、今は老人ホームでひっそりと暮らしている。日課といえば紙ナプキンを折ることだけ。
そんなパットのもとに、思いがけない訪問客があった。顧客で親友でもあったリタが亡くなり、弁護士から「パットに最後のメイクを施してほしい」という遺言を伝えられる。仲たがいをしたままだったパットは断ってしまうが、一人になると過去の思い出があふれてくる。パットはホームを抜け出し、長らく遠ざかっていた街をめざして歩き出す。
ミスター・パットはトッド・スティーブンス監督が17歳のころサンダスキーのゲイクラブで出逢った実在の人物。2012年に亡くなっています。演じたウド・キアーとはほぼ同年代。エンドロールにご本人の写真が出てきます。ウィスキーのグラスで顔が少し隠れていますが美形です。
老人ホームを出たパットはヒッチハイクをし、デビッドの墓を訪ね、化粧品店を探し回ります。灰色のスウェットの上下で出てきたパットは、どこかに立ち寄るたびに、アイテムが増えていきます。10本の指に思い出の指輪。ピンクの帽子、アイスグリーン色のスーツ、スカーフにソフト帽。お金がなくて店のものを失敬するかと思えば、「釣りはとっといて」と鷹揚なところもあり。たった一度来店したお客をちゃんと思い出せるのに、しょっちゅう弱気になっては、お酒の力で元気を出すミスター・パット、チャーミングで憎めません。
パットを励ますように流れる楽曲がよくて、この「OST」(Original Sound Trackの略)があったらまとめて聞きたい。
”スワンソング”とは、アーティストの生前最後の作品・曲・演奏のことを指すそうです。なぜなら白鳥は死の間際、最も美しい声で歌うという伝説があるから。パットの最後の歌は届きましたか?(白)
2021年/アメリカ/カラー/ビスタ/105分
配給:カルチュア ・ パブリッシャーズ
(C)2021 Swan Song Film LLC
https://www.reallylikefilms.com/applause
★2022年8月26日(金)シネスイッチ銀座、シネマート新宿、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
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