2022年08月07日

キングメーカー 大統領を作った男   原題:킹메이커(キングメーカー) 英題:Kingmaker

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監督:ビョン・ソンヒョン(『マイPSパートナー』『名もなき野良犬の輪舞ロンド』)
出演:ソル・ギョング(『ペパーミント・キャンディー』『名もなき野良犬の輪舞ロンド』『茲山魚譜 チャサンオボ』)、イ・ソンギュン(『パラサイト 半地下の家族』)、ユ・ジェミョン(「梨泰院クラス」)、チョ・ウジン(『SEOBOK/ソボク』)

1961年。世の中を変えたいと野党・新民党に所属し、理想と情熱に溢れる政治家キム・ウンボム(ソル・ギョング)。韓国東北部江原道で小さな薬局を営むソ・チャンデ(イ・ソンギュン)は、何度も落選するキム・ウンボムにほれ込み、選挙事務所を訪れる。「1票を得るより相手の10票を減らす」戦略を提案するなど、チャンデの豊富なアイディアで、ウンボムは補欠選挙で初当選する。さらに、1963年の国会議員選挙では、地元の木浦で対立候補を破り、新進気鋭の国会議員として注目を集める。しかしチャンデは、対立候補の隠し子を利用したネガティブキャンペーンを問題視されて謹慎状態になる。1967年の議員選挙で、ウンボムの台頭を警戒した大統領陣営のウンボム潰しに対抗するため、チャンデは再びウンボム陣営に呼び戻される・・・

理想に燃える政治家キム・ウンボムのモデルになっているのは、第15代大統領(在任:1998年~2003年)となった金大中(キム・デジュン)。その選挙参謀だった厳昌録(オム・チャンノク)が、ソ・チャンデのモデルとなっていて、本作で描かれている数々の選挙運動の秘策はほぼ実話とのこと。今、日本では、票を得るためにカルト集団の力を借りていたことが明るみになりましたが、どこの国でも選挙に勝つために、どの陣営もし烈な闘いを繰り広げます。そんな選挙の裏が見え隠れする物語なのですが、下手すると泥臭くなりそうな話を、ビョン・ソンヒョン監督は、『名もなき野良犬の輪舞ロンド』と同じく、とてもスタイリッシュに描いています。ホン・サンス監督作品にも数多く出演しているイ・ソンギュンが、選挙参謀をスマートに演じています。また、ソル・ギョングが理想に燃えた金大中を彷彿させる人物を体現していて、木浦での熱のこもった演説には、惚れ惚れしました。
金大中といえば、1973年(昭和48年)8月8日に、九段下のホテルグランドパレスから何者かに拉致され、船の上で抹殺されそうになったところをかろうじて助けられたという、いわゆる金大中事件が忘れられません。私が学生時代のことです。その時には、なぜ金大中が拉致されるような目にあったのかわからなかったのですが、その後、大統領になられ、独裁にまみれた韓国で民主的な大統領が誕生したことを知ったのでした。民衆に寄り添った人物が政敵として消されようとした事件だったのだと、あらためて驚いたものです。どこの国であれ、権力を持つ者は、民のことを真に思う政治をしてほしいものです。 (咲)


2021年/韓国/123分/5.1ch/ビスタ
字幕翻訳:小寺由香
提供:ツイン、Hulu
配給:ツイン
公式サイト:https://www.kingmaker-movie.com/
★2022年8月12日(金) シネマート新宿ほか全国順次ロードショー








posted by sakiko at 16:19| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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