監督・脚本・撮影:ユライ・ムラヴェツJr
出演:ユライ・ムラヴェツJr
15年4月、スロバキアの写真家ユライ・ムラヴェツJrは、ユーロマイダンの中心地だったウクライナ・キーフを出発、分離主義勢力が支配する東部のドネツクに向かう。分離主義勢力が支配する村を取材する彼に、戦争の悲しみと平和への望みを語る住民たち。クリフリク村最後の住民となった老婆は「プーチンに助けてほしい」と訴える。16年2月、ドネツクの情報省により入国禁止ジャーナリストとして登録された監督は、ドネツクには入国できなくなった。以後ウクライナ支配下の村やウクライナ-ドネツク紛争の最前線マリウポリでウクライナ側の人々を取材を開始する。
(C)All4films, s.r.o, Punkchart films, s.r.o., RTVS Rozhlas a televizia Slovenska
ユライ・ムラヴェツJr監督は、ドネツク側とウクライナ側の両方の住民に平等に話を聞いて記録してきました。ロシアと西欧にはさまれたウクライナは、親ロシア派と親欧米派に分断されて行きます。どちらにも組するわけではなく、ただただ平和であってほしいと願う住民もいます。国が荒れ、支えるべき住民が死んでしまうのに、なぜ戦争が繰り返されるのでしょうか?
両陣営に住む多くの人々の姿が紹介されています。前線に一人残された老女、離れて暮らす子どもを案じる母、スパイと疑われて逮捕された息子と理不尽な仕打ちに怒る母…手足を失った軍人や壊れかけた家を補修する人、ホームレスで飲酒がやめられない男性など。本作は6年前に完成したものですが、今年始まってしまったロシアのウクライナ軍事侵攻で都市部はさらに破壊され、映像にあった村のいくつかは消えてしまいました。
コロナ禍が終息せず、感染者数は増えるばかりの不安定な日常です。戦争の報道に胸が痛むと同時に、何が真実か、日本にいて何ができるのか頭がぐるぐるしてしまいますね。遠い国の話と思わずに、この貴重な映像をご覧ください。
ユライ・ムラヴェツJr監督にリモート取材ができました。(白)
インタビューはこちらです。
2016年/スロバキア /カラー/67分
配給:NEGA/配給協力:ポニーキャニオン
(C)All4films, s.r.o, Punkchart films, s.r.o., RTVS Rozhlas a televizia Slovenska
https://peacetoyouall.com/
★2022年8月6日(土)より渋谷ユーロスペースにてほか全国順次公開