ⒸMarc Brenner
シネマ版監督:ティム・ヴァン・ソメレン
演出:レイチェル・カヴァノー
原作:ケネス・グレーアム「The Wind in the Willows」(日本語訳書籍は「たのしい川辺」岩波少年文庫99)
脚本:ジュリアン・フェローズ
作曲:ジョージ・スタイルズ
作詞:アンソニー・ドリュー
出演:ルーファス・ハウンド(ミスター・トード/ヒキガエル)
サイモン・リプキン(ラッティー/ネズミ)
クレイグ・メイザー(モール/モグラ)
ニール・マクダーモット(チーフ・ウィーズル/イタチ)
デニース・ウェルチ(ミセス・オッター/カワウソ)
ゲイリー・ウィルモット(バジャー/アナグマ)
春になって土の中の家から出てきたモグラのモールは、川辺に住むネズミのラッティーやアナグマのバジャーと友達になった。初めて船に乗りヒキガエルのトードとも知り合った。トードは親譲りの御屋敷に住むお金持ちで、スピードの出る乗り物が大好き。次々と欲しくてたまらなくなる。トードが新しい乗り物に夢中になってお屋敷を留守にしているとき、イタチのギャングたちがお屋敷を乗っ取ってしたい放題の大騒ぎ。
日頃からトードに忠告していたラッティーは、モールやバジャーと対策を考える。カワウソの奥さんの一人娘も行方不明になっている。みんなと力を合わせてこの危機を乗り越えなくては!
ⒸMarc Brenner
松竹ブロードウェイシネマが送る1作。今回は2017年6月、ロンドンのウェストエンド(ブロードウェイのようなエンターテイメントが集合)地区のパレイディアム劇場で上演され大ヒットしたミュージカル作品です。スタッフ・キャストにそうそうたるメンバーを集め、2500人の観客が連日喝采した楽しい舞台を映画館で鑑賞することができます。
子どもの頃から親しんでいるケネス・グレーアムの世界、一人息子のために語って聞かせたという「たのしい川べ」がどんなミュージカルになるのか、ワクワクしながら鑑賞しました。動物たちは「キャッツ」のようなメイクではなく、鼻の頭をちょっと黒くして、髪の毛がその動物らしい色になっているだけ。その分、衣裳が凝っていて、その性格や暮らしぶりをちゃんと現わしています。大がかりな舞台装置も細かいところまで、とくとご覧ください。
明るくて楽しく、冒険ごころもくすぐられるファンタジーなので、お子様のミュージカル体験にぴったり。大人にはイギリスの階級社会や人間界のあれこれも思い出させる深さもあります。仲間たちや自分の居場所、故郷の大切さもじんわりしみ込んできました。帰り道で、ちょっと違う自分を見つけた気分にもなります。(白)
私はミュージカルが好きではないので、ほとんど観たことがない。もちろん音楽全般や歌は大好きなんだけど、生活の中で話している部分を歌にして表現というのが苦手。特に日本語で、普通に話をすればいい部分を歌にするというのに違和感を持っていた。
この作品は、川辺りに住む沢山の動物たちが繰り広げる、冒険と旅の物語。そして美しい四季の移ろいを表現した詩が素敵だった。動物たちの物語ではあるけど、人間社会への風刺ともとれるような物語でもある。舞台装置が次から次へと変わっていく移り変わりも素晴らしく、久しぶりに舞台の面白さも感じた。
ケネス・グレーアムも知らなかったけど、イギリスだとアーサー・ランサムの児童文学には子供の頃からなじんでいて、何年か前、アーサー・ランサム全集の神宮輝夫さんによる再訳版が出て12冊買った(全部で24冊)。このアーサー・ランサムの壮大な物語も、いつか映画になったらいいな。こちらは動物ではなく子供たちの冒険ではあるけど。ピーターラビットと同じ湖水地方が舞台なので、この『ザ・ウィローズ』の冒険に近い話ができるかも。
それにしても、日本語の生活の言葉を歌にしながらの芝居だと違和感なのに、外国語だとそう感じなかったのか。日本語のミュージカルにも機会があったら挑戦してみよう。今だったら、違う印象になっているかもしれない。そんな風に思うきっかけにもなった(暁)。
2017年/イギリス/カラー/ビスタ/131分
配給:松竹
(C)BroadwayHD/松竹
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★2022年7月8日(金)から東劇(東京)、なんばパークスシネマ(大阪)、ミッドランドスクエア シネマ(名古屋)ほか全国順次限定公開