2022年06月26日

モガディシュ 脱出までの14日間  原題:모가디슈(モガディシュ) 英題:Escape from Mogadishu

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監督:リュ・スンワン
出演:キム・ユンソク、ホ・ジュノ、チョ・インソン、ク・ギョファン、キム・ソジン、チョン・マンシク

1990年、ソウル五輪で大成功を収め勢いづく韓国政府は国連への加盟を目指し、多数の投票権を持つアフリカ諸国へのロビー活動に励んでいた。ソマリアの首都モガディシュで韓国大使を務めるハン(キム・ユンソク)は、現地政府の上層部に何とか取り入ろうとしている。一方、韓国より20年も早くアフリカ諸国との外交を始めていた北朝鮮のリム大使(ホ・ジュノ)も国連加盟のために奔走し、両国間の妨害工作や情報操作はエスカレートしていく。
そんな中、ソマリアの現政権に不満を持つ反乱軍による内戦が激化。1991年12月末、反乱軍が首都のモガディシュを制圧、空港は封鎖され通信網が断たれる。「独裁政府に協力した外国政府は出ていけ!」と、大使館に石や火炎瓶が投げ込まれる。韓国と北朝鮮の両大使館も完全に孤立する。中国大使館にも助けを求められないことを悟った北朝鮮のリム大使は、絶対に相容れない韓国大使館に助けを求める決意をする。
年が明けて、韓国大使とイタリア大使の交渉がまとまり、赤十字の救援機に乗れることになる。そのためには午後4時までにイタリア大使館に着かなければならない。果たして、一行は全員で生きて脱出することができるのか・・・

北朝鮮のテ・ジュンギ参事官(ク・ギョファン)は、「韓国に助けてもらったことが知られると帰国して粛清される」と必死で大使を止めます。一方の韓国大使館のカン・デジン参事官(チョ・インソン)は、全員を韓国に亡命させ手柄にしようと画策します。そんな中、韓国大使夫人キム・ミョンヒ(キム・ソジン)が、北朝鮮の家族たちにも分け隔てなく気を遣う姿が素敵です。イタリア大使館が、国交のない北朝鮮の人たちを乗せることに難色を示した時には、ハン大使が「全員、南に転向した」と嘘をついています。
当時、南北が協力して脱出したことを中央日報が詳しく報じたものの、韓国の人々の関心を集めることはなかったとのこと。まだ北朝鮮への関心が薄かった時代だったそうです。
2006年、外交官を引退した元大使が自身の体験をもとに小説を執筆。本作は、その小説をもとに取材を始め、80年代のアフリカに駐箚した外交官にも取材。
撮影は、ソマリアが渡航禁止国家に指定されている為、モロッコで行われました。ハリウッド映画の撮影もよく行われるモロッコですが、舞台がモロッコでないのに、モロッコとわかってしまう映画も多い中、本作は撮影場所がモロッコであることを一切感じさせませんでした。エッサウィラの町を、見事にモガディシュに仕立てています。(もっとも、モガディシュの町を私は知りませんが・・・)
さて、クライマックスの一行が車に分乗してイタリア大使館を目指すシーン。韓国大使館を出発したのは、午後3時31分。ソマリアの国教はイスラーム。午後のお祈り(アスル)の時間は、3時半開始! 車が全力疾走する通りに、クルアーン朗誦の声が響き渡り、モスクに入りきれない人たちが道端でお祈りしている姿を映し出しています。お祈りの時間でなかったなら、暴徒に襲われることもあったはず。お祈りの時間に重なったのは、実に運がよかったと思います。絵的にも素晴らしい場面になっているのですが、事実はどうだったのでしょう?(咲)



2021年/韓国/カラー/121分/シネスコ/5.1ch
字幕翻訳:根本理恵
提供:カルチュア・エンタテインメント
配給:ツイン、 カルチュア・パブリッシャーズ
宣伝プロデュース:ブレイントラスト
公式サイト:https://mogadishu-movie.com/
★2022年7月1日(金)新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン 池袋ほか全国ロードショー




posted by sakiko at 19:26| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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