2022年06月26日

シネマスコーレを解剖する。~コロナなんかぶっ飛ばせ~

2022年7月2日(土)~ K's cinema(東京)
2022年7月16日(土)~ シネ・ヌーヴォ(大阪)ほか 順次公開

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©︎メ〜テレ

緊急事態宣言、休館、復館…
コロナ禍で翻弄される名古屋のミニシアターの闘いの記録


製作総指揮:村瀬史憲
監督:菅原竜太
音楽監督:村上祐美
撮影:水野孝
語り:韓英恵
出演:木全純治、坪井篤史、足立正生、入江悠、瀬戸慎吾、井浦新、奥田瑛二、若松孝二 ほか

名古屋駅の新幹線側でない方の出口を出て、駅前広場?の向かい側にミニシアター「シネマスコーレ」はある。本作は「シネマスコーレ」の木全純治支配人を追ったドキュメンタリーで、名古屋のメ~テレ(名古屋テレビ放送)が2021年3月に中部地区で放送した「メ~テレドキュメント 復館 ~シネマとコロナ~」(ギャラクシー賞 奨励賞受賞)に、未公開シーンや継続取材した映像を加え、劇場用に再編集したもの。2月に名古屋で先行公開した映画『コロナなんかぶっ飛ばせ』をバージョンアップして、東京をはじめ全国のミニシアターで公開予定。
「シネマスコーレ」は座席数51席。1983年に若松孝二監督が創立して以来、木全支配人が見出したインディーズ映画やアジア映画の“知られざる名作”を“一日も休まずに”上映してきた。近年は坪井篤史副支配人が仕掛ける独創的なイベントでも全国的に名前を知られるように。この2年あまりの新型コロナの影響で、開館以来初めて休館に追い込まれた。また、映写機が壊れたりと、様々な苦境に見舞われながら、「なんてことない」と笑顔を絶やさず、映画文化の多様性を守るために奮闘する木全支配人の姿を追っている。
映画作品と観客、映画人(監督や俳優など)との「近さ」が魅力のシネマスコーレは、「密」の回避が叫ばれる社会で存続できるのか。2年に及ぶ取材をもとにシネマスコーレや、他のミニシアターが映画文化の発展に果たしてきた役割の大きさ、日本のインディーズシーンをバックアップをしてきた姿、新人監督の作品を多くかけたり、新な映画人を育てる姿などを描き、また“多様性”が持つ意味を問い掛ける。
やはりメ~テレで放送された後、映画になった、シネマスコーレの坪井副支配人の映画愛を描いた『シネマ狂想曲 名古屋映画館革命』(2017)が名古屋や東京で公開されていて、メ~テレドキュメントの映画化第2弾。それにしても「シネマスコーレ」だけで2本もドキュメンタリーができちゃうなんてすごい!

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シネマスコーレ入口と看板の掃除をする木全支配人 ©︎メ〜テレ

私と木全純治支配人との出会いは1994年。その年の6月、名古屋で「アジア文化交流祭」というのがあり、『青春祭』の張暖忻(チャン・ヌアンシン)監督が、最新作『雲南物語』を持って来日というので名古屋に行き、この映画祭の主催者である木全さんと初めて会いました。その張暖忻監督の姿もこの映画の中に一瞬ですが出てきます。『雲南物語』の日本でのシーンを愛知県で撮影し、それにシネマスコーレが協力したということで、映画祭での上映が可能になったようです(下記、シネマジャーナル30号、31号記事参照)。
その後、1996年に「あいち国際女性映画祭」が始まり、第一回目から名古屋に通うようになり、この映画祭のディレクターである木全さんとは毎回顔を合わせるようになりました。数回、そしてこの2年はコロナ禍で、このあいち国際女性映画祭に行けませんでしたが、この映画祭も去年で26回目。たぶん22回くらいは名古屋に通っています。そして、東京国際映画祭や大阪アジアン映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭など、各地の映画祭に行くと、大体観たい作品が同じなので、いつも顔を合わせます(笑)。それに1994年以来、シネマジャーナル本誌をシネマスコーレで置いてくれているのでいつもお世話になっています。
1か月くらい前、渋谷の映画美学校にある(ユーロスペースがあるビル)映画チラシが置いてあるコーナーで、木全さんが笑って写っている上記のチラシをみつけました。思わず「何?」と思ってしまいましたが、その木全さんを追いかけたドキュメンタリー作品が公開されるということで楽しみに観ました。ちなみに名古屋公開時のチラシにはクローズアップされた木全さんの写真は使われていなかったようです。
シネマスコーレにはもう10数年行っていないですが、このコロナ禍でこんなにも大変な思いをし、映写機まで壊れてしまったという窮地に追い込まれても「なんとかなるさ」とばかりに、自ら床板の修理をしたり、看板を掃除したりして、映画館を継続するために立ち働く姿を見て、映画祭でみかけるのとは違う木全さんの姿を見ることができ、シネマスコーレが39年も続いてきたのがわかるような気がしました。
6月10日(金)に行われた、「『シネマスコーレを解剖する。』公開決起集会」の模様は特別記事にしました(暁)。

シネマジャーナルHP 特別記事
『シネマスコーレを解剖する。』公開決起集会 LOFT9 Shibuyaにて

*参照記事 
・シネマジャーナル30号 (1994)
「張暖忻監督に会いに名古屋のアジア文化交流祭に行く」

・シネマジャーナル31号 (1994)
 第三回NAGOYAアジア文化交流祭報告

『シネマスコーレを解剖する。~コロナなんかぶっ飛ばせ~』公式HP
2022年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/93分
制作:メ~テレ(名古屋テレビ放送)
配給:メ~テレ(名古屋テレビ放送)、シネマスコーレ
posted by akemi at 18:17| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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