2022年06月25日
マルケータ・ラザロヴァー(原題:Marketa Lazarova)
監督・脚本:フランチシェク・ヴラーチル
原作:ヴラジスラフ・ヴァンチュラ
撮影:ベドジフ・バチュカ
美術・衣装:テオドール・ピステック
音楽:ズデニェク・リシュカ
出演:マグダ・ヴァーシャーリオヴァー(マルケータ)、フランチシェク・ヴェレツキー(ミコラーシュ)、ヨゼフ・ケムル(コズリーク)、ミハル・コジュフ(ラザル)、イヴァン・パルーフ(アダム)、パヴラ・ポラーシュコヴァー(アレクサンドラ)、ヴラスチミル・ハラペス(クリスティアン)
13世紀半ば、動乱のボヘミア王国。ロハーチェクの領主コズリークは、勇猛な騎士であると同時に残虐な盗賊でもあった。ある凍てつく冬の日、コズリークの息子ミコラーシュとアダムは遠征中の伯爵一行を襲撃し、伯爵の息子クリスティアンを捕虜として捕らえる。王は捕虜奪還とロハーチェク討伐を試み、元商人のピヴォを指揮官とする精鋭部隊を送る。
一方オボジシュテェの領主ラザルは、時にコズリーク一門の獲物を横取りしながらも豊かに暮らしていた。彼にはマルケータという、将来修道女になることを約束されている娘がいた。
ミコラーシュは王に対抗すべく同盟を組むことをラザルに持ちかけるが、ラザルはそれを拒否し王に協力する。ラザル一門に袋叩きにされたミコラーシュは、報復のため娘のマルケータを誘拐し、陵辱する。部族間の争いに巻き込まれ、過酷な状況下におかれたマルケータは次第にミコラーシュを愛し始めるが…
チェコの大作が55年を経て上映されることになりました。原作小説はベストセラーになったそうで、日本に歴史小説ファンがいるように、ヨーロッパでも混沌の中世歴史小説ファンがいるのでしょう。フランチシェク・ヴラーチル監督は、当時の衣食住を同じ材料同じ作り方で再現し、極寒の⼭奥で当時と同じように⽣活しながら548⽇間に渡って撮影したというから驚きです。どれだけ凝り性なのでしょ。モノクロのシネマスコープ画面の中で、俳優たちが近代文明をそぎ落とした表情で生きています。二度とない経験をしたに違いない。マルケータ役のマグダ・ヴァーシャーリオヴァーは撮影開始時はまだ10代のはず。女優さんの露出が多いので気になりました。
13世紀中ごろと言えば日本では鎌倉時代です。「鎌倉殿の13人」放映中ですが、ほぼ同じころ。東ヨーロッパでは、地続きの諸国が領地を取ったり取られたり戦国時代の様相です。女性の人権などなかったでしょう。マルケータの強い視線と、背後に流れる音楽が記憶に刻まれました。蛇足:伯爵の息子クリスティアンが『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラスみたいな美青年でした。(白)
1967年/チェコ/166分/モノクロ/シネマスコープ/モノラル/DCP/
配給・宣伝:ON VACATION/後援:チェコセンター東京
© 1967 The Czech Film Fund and Národní filmový archiv, Prague
公式サイト http://marketalazarovajp.com/
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★2022年7月2日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
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