2022年06月19日

あなたの顔の前に  原題:당신 얼굴 앞에서 英題:In Front of Your Face 

anatano kaonomaeni.jpg
(C)2021 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved

監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス
出演:イ・ヘヨン、チョ・ユニ、クォン・ヘヒョ、シン・ソクホ、キム・セビョク、ハ・ソングク、ソ・ヨンファ、イ・ユンミ、カン・イソ、キム・シハ


長年アメリカで暮らしていた元女優のサンオク。突然帰国し、母が亡くなって以来疎遠だった妹ジョンオクの暮らすソウルの高層マンションに身を寄せる。朝食後、川沿いのカフェでコーヒーを飲みながら、ジョンオクはサンオクに目の前で建設中のマンションを購入して住めばと勧める。
カフェを出て公園を歩いていたサンオクとジョンオクは、とおりすがりのふたりの女性に写真を撮ってほしいと頼む。「女優さんでは?」と言われ、「今は違います」と答えるサンオク。
二人はジョンオクの息子スンウォンが経営するトッポッキ店に寄る。スンウォンは不在で、帰ろうとすると、帰ってきたスンウォンが追いかけてきて、大好きな伯母さんにとプレゼントを渡す。
サンオクが午後会う約束をしていた相手から場所を仁寺洞に変更したと連絡が入る。まだ時間があるので、サンオクはタクシーで梨泰院に向かい、昔、住んでいた家を訪ねてみる。家は洒落たお店になっていたが、庭は記憶の中のままで癒される。少女が現れジウンと名乗る。愛おしくて抱きしめる。
サンオクが指定された仁寺洞の「小説」に着くと、そこは居酒屋。彼女を誘ったのは面識のない映画監督ソン・ジュウォン。昼食を食べてなかったサンオクのためにエビチリと酢豚を頼んでくれる。昼間で誰もいない店で、監督は、学生だった30年前に観たサンオク出演作が忘れられないと熱く語る。そして、3カ月で脚本を仕上げるので、自分の作品にぜひ出演してほしいという。「ごめんなさい。私には時間がありません」と理由を語るサンオクの前で、いつしか監督は寝てしまっていた・・・

長年疎遠になっていた祖国の家族のもとに帰ってきた元女優サンオクの一日の出来事。過去に何があったのか、そして、なぜ突然帰国したのか、妹や監督との会話の端々から、観ている私たちは知ることになります。これまでのホン・サンス監督作品と同様、人と人の対話の妙を楽しみました。
元女優サンオクを演じたイ・ヘヨンさんは、ホン・サンス作品初出演。1962年生まれで、父は、1960年代の韓国映画に多大なる影響を与えた巨匠イ・マンヒ監督。1981年、ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」で俳優デビュー。その後、多数の演劇作品に出演し、1982年、『ママの結婚式』で映画デビュー。1980年代の名だたる監督の映画に出演している大ベテラン。本作で、第58回百想芸術大賞<映画部門>女性最優秀演技賞受賞。
サンオクに憧れる監督役のクォン・ヘヒョさんは、ホン・サンス作品の常連。本作でも、真面目な顔で語っているのに、笑わせてくれました。
サンオクの妹ジョンオクを演じたチョ・ユニさんはクォン・ヘヒョさんの実の奥様。
ホン・サンス監督の公私にわたるパートナーであるキム・ミニさんは、本作には出演せず、プロダクション・マネージャーを務めています。
サンオクの一日を辿りながら、自分の人生を振り返りたくなる映画でした。(咲)




2021年/韓国/韓国語/85分/カラー/1.78:1/モノラル
字幕:根本理恵
配給:ミモザフィルムズ
公式サイト:http://mimosafilms.com/hongsangsoo/
★2022年6月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開


posted by sakiko at 20:13| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください