2022年05月28日

私のはなし 部落のはなし

5月21日(土)より [東京]ユーロスペース、[大阪]第七藝術劇場、シネマート心斎橋ほか全国順次公開  他の上映情報

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©『私のはなし 部落のはなし』製作委員会

監督:満若勇咲
プロデューサー:大島新
撮影:辻智彦
編集:前嶌健治
整音:高木創
音楽:MONO
語り・テキスト制作:釆奈菜子

「部落差別」は、いかにしてはじまったのか
なぜ私たちは、いまもそれを克服できずにいるのか?
日本の〈部落差別〉をみつめたドキュメンタリー

日本には穢多・非人などと呼ばれる賤民が存在した。1871年(明治4年)の「解放令」によって賤民身分が廃止されて以降、かれらが集団的に住んでいた場所が「部落」と呼ばれるようになり、廃止されても差別構造は残存している。日本に根強く残る「部落差別」。現在、法律や制度のうえでは「部落」や「部落民」というのは存在しない。しかし、いまなお差別はある。なぜ名目上はなくなった差別が残っているのか。
この「部落」差別は、いかにしてはじまったのか? その起源と変遷から近年の「鳥取ループ裁判」まで、堆積した差別の歴史と複雑に絡み合った構造を、多彩なアプローチで見える化し、差別の構造を鮮やかに描きだしたのがこの作品。
監督は、屠場で働く人々を写した『にくのひと』(2007年)が各地で上映され好評を博し、第一回田原総一朗ノンフィクション賞を受賞したが、劇場公開を断念せざるをえなかった経験を持つ満若勇咲。あれから十数年、プロデューサーに『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』の大島新を迎え、これまでにないアプローチで<部落>を語る映画を作った。

「部落差別」のことは、子供の頃に観た『橋のない川』という映画を観て知った。かれこれ60年くらい前のこと。東京の三多摩に住んでいた私は、新興住宅地で、そういうことがあるということを全然知らなかった。当時、そのあたりには「部落」とかがなかったので、その言葉自体を知らなかった。そして、成長するにつれ、「人種差別」「女性差別」「障害者差別」と様々な差別があることを知るようになった。でも「部落差別」に関しては、文章や映画、ニュースなどからしか知ることがなかった。身近にそういうこと自体がなかったから、実態も知らなかった。でも今だに実際に「部落差別」があるということが、この映画によって思い出された。この映画では「部落差別」を研究している学者による差別の起源やどういう実態があるという話や、今もある「部落」と言われている地域に住む若者たちの話なども登場し、多面的な見方で、観た人、ひとりひとりが考えるためのきっかけを作ってくれるような作品だった。
会社の人事などで、今もそういう人を排除するような風潮が残っていたりというのには驚いたが、結婚の時に血筋や家柄などを重視する社会観が残る限り、この差別は残っていくのだろうか。3時間半という長さのドキュメンタリーだが、様々な視点から語っていて、長くは感じなかった(暁)。


公式HP
2022年|205分|日本|ドキュメンタリー
配給:東風
posted by akemi at 10:33| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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