2022年5月27日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開 その他の劇場情報
彼らはみんなライバルであり仲間でもあった。
熱く刺激的だった60年代のアメリカの音楽シーンが現代によみがえる
ミュージシャンの知られざるエピソードが満載!
監督:アンドリュー・スレイター
脚本:アンドリュー・スレイター、エリック・バーレット
製作・出演:ジェイコブ・ディラン
出演:トム・ペティ、ブライアン・ウィルソン、リンゴ・スター、エリック・クラプトン、スティーヴン・スティルス、デヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュ、ジャクソン・ブラウン、フィオナ・アップル、ベック、ノラ・ジョーンズ、キャット・パワー、ジェイコブ・ディラン
カリフォルニア州のロサンゼルス市にある映画産業の中心地ハリウッド。その近くに、60年代後半から70年代に多くのミュージシャンが住み、数々の名曲を生み出したウェストコーストサウンドの聖地ローレル・キャニオンがある。新しい音楽を目指すアーティストが世界中から集まり、互いに影響し合い、ムーブメントを巻き起こした。
製作のジェイコブ・ディランが進行を務め、当時活躍していた下記のミュージシャンたちにインタビューし、また当時の貴重な映像をたくさん駆使して、ローレル・キャニオンの歴史的音楽シーン描きだし、当時の音楽が現在の音楽シーンにいかに影響を与えているかを導きだす。
トム・ペティ、ブライアン・ウィルソン、リンゴ・スター、ミシェル・フィリップス、エリック・クラプトン、スティーヴン・スティルス、デヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュ、ロジャー・マッギン、ジャクソン・ブラウンらへのインタビューや、ザ・ビーチ・ボーイズ、ママス&パパス、ザ・バーズ、バッファロー・スプリングフィールドらの貴重なアーカイブ映像とともに、音楽ができた時のエピソードなども語られる。
インタビューするジェイコブ・ディランはボブ・ディランの息子で、やはりミュージシャン。伝説のミュージシャンたちから創作の秘密や知られざる逸話を引き出し、ベック、ノラ・ジョーンズ、フィオナ・アップル、キャット・パワーなど、当時の音楽に影響を受けた新しい世代のミュージシャンらとともに、かつてのカリフォルニア・サウンドをアレンジしたバンドを結成し、スタジオでのセッションを重ねトリビュートライブを行う。この時代を知らない世代にも、その音楽の響きが伝わることでしょう。
ロサンゼルス映画祭でオープニングを飾り絶賛を博した話題作とのこと。
またトム・ペティ生前最後のフィルム・インタビューになってしまった。
この作品の前に『ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック』が公開され、1960年代後半から70年代前半のアメリカの音楽シーンにウェストコーストサウンドが大きな影響を与えたことが描かれ、アメリカ西部カリフォルニア州ロサンゼルス「ローレル・キャニオン」の地にミュージシャンが集まってきたことが大きな流れとしてあったことを知ったが、『エコー・イン・ザ・キャニオン』ではさらに、たくさんの大物ミュージシャンが登場し、具体的な音楽の作られるまでのエピソードとか、交流の模様が描かれ、あの時代から今に続くアメリカの音楽シーンへの流れを形作った人々のエピソードなど、貴重なドキュメンタリーです。
なかでもママス&パパスの「夢のカリフォルニア」ができたエピソードが面白かった。ニューヨークでレコード会社との契約を待っている間に、カリフォルニアへ帰りたくて、懐かしんで作った歌だと語られていた。
あの頃はラジオから流れてくる音からしか知らなかった。映像なんて見ることもなかったし、あることも知らなかった。だから名前は知っていたけど、顔は知らなかったという人もたくさん(笑)。今回、これら60年代の音楽シーンの映画をいくつも観て、その頃の映像がたくさんあったことを知った。そして、もとの映像や当時のライブ映像や音楽番組などをYouTubeでたくさんみつけた。元の音源を耳が覚えていて、この歌は個々の場でこういう風に歌われていたんだという発見もたくさんすることができた。
この作品の製作と進行はなんと、ボブ・ディランの息子のジェイコブ・ディラン。ボブ・ディランに息子がいて、彼も音楽をやっているとは全然知らなかった。やはし若き日のボブ・ディランを彷彿とさせる雰囲気がある。大物ミュージシャンたちからいろいろな話を引き出すことができたのは彼だからこそかもしれない。さらにジェイコブ・ディランは新しい世代のミュージシャンたちと共に、60、70年代の音楽のカバーライブまで催し、その映像も流れる。
ここに至って、日本での60、70年代の音楽シーンのドキュメンタリーがあったらなあと思った。確かにこれまで、数々の個別のミュージシャンやコンサートなどのドキュメンタリー作品はこれまでも数々公開されてきた。でも、『ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック』や『エコー・イン・ザ・キャニオン』のような、音楽シーンや交流を描いた作品はほとんどないような気がする。日本でもこの時代、フォークソングからニューミュージックへの大きな音楽のうねりがあった。ザ・ブロードサイド・フォー、森山良子などから、高石友也、岡林信康、高田渡、中川五郎、小室等、吉田拓郎、加藤登紀子、カルメン・マキ、イルカ、五つの赤い風船、ザ・フォーククルセダーズ、赤い鳥、海援隊、アリス、RCサクセション、THE ALFEE、井上陽水、中島みゆき、荒井由実、さだまさしなどへ続く音楽シーンを描いたら面白いものができるのではと思った。特に関西フォークの流れを作った人たちとコンサートの数々をつないで作ったら貴重な記録ができるのでは。高田渡を描いた作品は、3,4本公開されてきているが、彼の息子高田漣も今やミュージシャンで活躍している。彼をフィーチャーして作ったら面白いのではと勝手に妄想してしまう私(笑)。これらの音楽映画を観て、かつて音楽好きだった自分の趣味の歴史を思い出したり、懐かしい人たちの姿を観て、過去を振り返ったり、いろいろな楽しみ方をできると思った映画の数々でした。なにより50年も前の映像を、今、観ることができるという発見は嬉しかった(暁)。
『エコー・イン・ザ・キャニオン』公式HP
2018年/アメリカ/ビスタ/83分/5.1ch
日本語字幕:本田久乃 配給・宣伝:アンプラグド
これまでの「極上のロック・ドキュメンタリー ROCKUMENTARY2022」の3本の作品は下記にて紹介しています。
『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/486944223.html
『ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック』
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/487528181.html
『スージーQ』
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/487526374.html
2022年05月25日
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