監督:吉野耕平
原作:辻村深月
脚本:政池洋佑
出演:吉岡里穂(斎藤瞳)、中村倫也(王子千晴)、柄本佑(行城理)、尾野真千子(有科香屋子)
公務員からアニメ界に転身した斎藤瞳は、7年目にしてようやくテレビアニメ『サウンドバック 奏の石』で監督デビューすることになった。瞳を抜擢したプロデューサーの行城理は、味方するでもなくビジネス最優先、瞳の意気込みは空回りするばかりだ。同じ時間枠には瞳が憧れた天才監督、王子千晴の『運命戦線リデルライト』。王子はかつてメガヒットを出したものの低迷が続いて、この作品で復帰を狙っている。プロデューサーの有科香屋子だけが王子の才能に惚れ込み、我儘な王子と制作現場をつないでいるが、その王子は姿をくらましたままだ。
デビュー作に入れ込む瞳は睡眠も削って頑張っていますが、周りを見る余裕がありません。ようやく各部署のスタッフの名前を覚え、苦楽をともにするうち、みんなが持っている「いい作品を作りたい」という思いが結実していきます。普段見えることのないさまざまな部署や、大手の無理な注文に応じる小さなプロダクションの仕事ぶりもきちんと描かれています。多くのキャスト一人一人も説得力あり、共感を呼ぶでしょう。
原作にも劇中アニメの描写がしっかりとありましたが、映画でも瞳と王子の個性が光る2本が作られ、放映されるまでの過程が見られます。第一線のクリエイターたちが手掛けたもので、どちらも別建てで観たいほどです。スピンオフとか、特典映像とかになりませんかね?
それぞれを推すファンのツイートが色別でパタパタと現れるのが、人気の可視化としても面白いです。タイトルの「ハケン」は「覇権」。思わず「とります!」と宣言してしまった新人監督の瞳と、実力トップクラスの王子の覇権争いの結果はいかに? アニメ好きはもちろん、お仕事ドラマとして、日々悩める女子たちにもおすすめ。(白)
2021年/日本/カラー/シネスコ/128分
配給:東映
(C)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
https://haken-anime.jp/
★2022年5月20日(金)ロードショー
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