2022年05月13日

ワン・セカンド 永遠の24フレーム (原題:一秒鐘 One Second)

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(C)Huanxi Media Group Limited

監督:チャン・イーモウ
脚本:チャン・イーモウ、ヅォウ・ジンジー
撮影:チャオ・シャオティン
出演:チャン・イー(逃亡者)、リウ・ハオツン(リウの娘)、ファン・ウェイ(ファン電影)

1969年文化大革命まっただなか。強制労働所送りになった男は、妻と別れ最愛の娘とも疎遠になっていた。数年後「ニュース映画22号」の中に娘が映っていると聞き、それを一目観たいがために強制労働所から逃げ出した。次の村へと運ばれるフィルム1缶が盗まれるのを目撃した男は、その後を追う。盗んだのは孤児のリウ。弟と二人暮らしのリウにはフィルムがどうしても必要なわけがあった。
リウからフィルムを取り戻した男は、映写技師のファンに手渡すことができたが、一難去ってまた一難。今度は他のフィルムが運搬中に落下して引きずられ、傷だらけになってしまったのだ。逃亡中の男は娘の場面を観るまでは保安隊に捕まるわけにいきません。上映は間に合うのか? リウの問題は片付くのか? 

広大な砂漠のシーンが美しいです。美しいけれども、これで作物が育つのか?どうやって水を得て生活をしているのか?と気になってしまいました。
名前の明かされない逃亡者の男とリウの攻防は何度も繰り返され、口の達者なリウにやり込められたり、出しぬかれたりが笑いを呼びます。背景に強制労働や貧困を描きながら、映画愛が満ちていました。村の人たちが数ヶ月に一度の上映を待ちわびていること、映写技師が慕われ、仕事に誇りをもっていることがわかります。上映のために村をあげて協力する人々、上映時に超満員の観客が熱狂する場面には胸がいっぱいになります。劇中映画は父と娘の情愛を描いた『英雄子女』。映写技師のファンにも父親としての反省がありました。父親の想いはどの時代、どこの国でも変わりません。
チャン・イーモウ監督が見出した新星リウ・ハオツンは、この作品で第15回アジア・フィルム・アワード新人賞を受賞。ずっと男の子みたいですが、親代わりに弟を守る姉の愛情が伝わります。笑顔が見られるまで辛抱してください。コン・リーやチャン・ツィイーを継ぐ女優に育ちますように。(白)


映画1本が数缶に分かれ、結構な重さ(20~30キロ)だった時代。映画の重さだけ、人々の映画への思いも熱かったのではないでしょうか。それが、長年、会ってない娘の姿が、ほんの1秒(ワン・セカンド)でも出ているとなれば、なんとしてでも観たいのが親心。泣けます。
髪の毛がボサボサで男の子みたいだったリウ・ハオツンが、やっと見せてくれる少女の姿は初々しくて、『初恋のきた道』で初めて観たチャン・ツィイーの愛らしさを彷彿させられました。
フィルムがからまったのを必死に修復する場面があります。デジタルが主流となった今では考えられません。
チャン・イーモウ監督の若い時代の経験や思い出がぎっしり詰まった映画愛に溢れる珠玉の1作。(咲)


ニュース映画に映った娘の姿を観たいとフィルムを追う父親と、貧しいながらもけなげに生きている少女と、映画を上映することに情熱を燃やす興業主の偶然の出会いを描くドラマ。
野外に白い幕を張って村人が集まって映画を観る光景は、中国映画の中で幾度となく描かれてきた。張芸謀(チャン・イーモウ)監督作品の中でも何度も描かれてきたと思うけど、それ自体が主体に描かれてきたことはなかったかもしれない。野外に白い幕を張って映画を観るというのは、日本でも昔あった。私が小学生低学年くらいまであったと思う。観た記憶がある。たぶん1960年代前半くらいまでは、東京でもあったのではないかと思う。その後は亡くなってしまったけど、学校で1年に1回くらい大きい教室や講堂に集まって映画を観た記憶は小学校高学年まである。なので、この中国での光景も1960年代後半の時代なので、同じころ日本でもあった光景だと思う。東京でもそうなので、地方だったらもっと後まであったかも。
それにしても、映画を観るという行為と映画愛に満ち溢れた映画だった。
自分の娘が一秒鐘(1秒間)描かれているという情報を得た、男(張譯=チャン・イー)はなんとかその映像を観たいと労働改造所から逃亡するが、砂漠を歩き続けて上映されるという村まで歩く。その砂漠の景色は張芸謀らしく雄大さと美しい光景、そして自然の厳しさも映し出す。村は砂漠の向こうにあるのか。そこの関係はわからない。そして村についた逃亡者の男は、映画のフィルムが入った缶を運ぶ配達人に偶然出会った?
そして、それを盗んだリウの娘(劉浩存=リウ・ハオツン)をみつけ、おいかけていく。見失ってしまうけど、映画が上映される村(場所)の食堂でビャンビャン麵を食べようとしている娘からそれを奪って食べるのだけど、そこに偶然出くわしたのがファン電影のファン(范偉=ファン・ウェイ)。取り戻したフィルムをファンに渡した時、男は娘が盗んだとは言わない。この3人を中心にして物語は進む。それにしても、単純な物語の中に、映画への愛、男の娘への愛、リウの娘の父親や弟に対する思い、それらをうまくからませながら、1本の作品ができているというのはさすがです。
私は映像ではなく、スチール写真の現像などの技術者だったので、フィルムを洗って、拭いて、乾かすシーンを見て、同じような経験をしたことがあるので、思わず「張芸謀、やったね」とニヤリとしてしまいました。もちろんあんなざつな処理は普通ありえないけど、あの場ではしょうがなかったのだろうし、あれがベストの解決方法だったと思ったそして映し出された映像と何回も上映するシーンは感動だった。優しさとずる賢さ両面をもつファンを演じた范偉(ファン・ウェイ)は元々コメディアンなので、そういうのがうまい。日本でいえば、伊東四朗さんみたいな感じかも。
主人公の張譯(チャン・イー)は観たことあると思ったけど『クライマーズ』『帰れない二人』『山河ノスタルジア』『最愛の子』などの作品にも出ていた。これまで名前を知らなかった。そして劉浩存(リウ・ハオツン)は、今回張芸謀監督に見いだされた新人(暁)。


2020年/中国/カラー/シネスコ/103分
配給:ツイン
(C)Huanxi Media Group Limited
https://onesecond-movie.com/
★2022年5月20日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 20:31| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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