監督・脚本:李相日
原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社)
撮影:ホン・ギョンピョ(『パラサイト 半地下の家族』『バーニング 劇場版』)
音楽:原摩利彦
美術:種田陽平、北川深幸
照明:中村裕樹
出演:広瀬すず(家内更紗)、松坂桃李(佐伯文)、横浜流星(中瀬亮)、多部未華子(谷あゆみ)、白鳥玉季(更紗)、趣里(安西佳菜子)、三浦貴大(湯村)、内田也哉子(佐伯音葉)、柄本明(阿方)
両親のもとで自由に育った家内更紗(かない さらさ)は、父が亡くなった後、母は失踪し10歳で一人ぼっちになった。預けられた伯母の家は窮屈なうえ、中学生の従兄がちょっかいを出してくる。居場所のない更紗は、いつも一人公園で本を読んでいる。雨が降り出した日、傘をさしかけてくれたのは、やはり一人でベンチに座っていた大学生・佐伯文(さえき ふみ)だった。
文は何も強要せず、更紗のしたいように過ごさせてくれた。更紗は毎日が幸せで「ここにいてもいい?」と聞く。文も更紗といるのが楽しかった。そして夏の終わり、失踪した更紗を探していた警察に発見され、文は「誘拐犯」、更紗は「被害女児」となった。
15年後。2人は偶然に再会した。
原作は2020年本屋大賞。10歳で公園から行方知れずになり、失踪届が出されても、更紗は伯母の家には戻りたくありませんでした。孤独な文にも事情があり、一人と一人は心地よかったのです。文は烙印を押され、子どもの更紗の言葉は受け入れられません。15年後2人にはそれぞれ恋人がいましたが、幸せとは言えません。
更紗発見時の動画がネットで拡散されていて、それに新しい情報が加わったことで、昔の事件が蒸し返されてしまいます。真実は2人の中にあるのに、はたの人がなぜお節介をするのやら。
w主演の広瀬すずさん、松坂桃李さん、それぞれの恋人役となった横浜流星さん、多部未華子さんたちは、これまでのどの役とも違う顔を見せています。
引き出したのは『フラガール』『悪人』『怒り』と胸に刻まれる作品を作ってきた李相日監督。表情や風景をとらえた撮影はホン・ギョンピョさん。「日本は月が綺麗に見える」とおっしゃったそうです。闇を秘めた物語に特別大事なのは美術と照明、”カフェ・calico”がよかった。ひっそりと文がいられる場所でした。共感するとかしないとかでなく、忘れられない作品。(白)
真実は当事者だけが知っている・・・ということをつくづく思いました。
ほんとのことを言っても信じてもらえないから、あえて言わないという思いを松坂桃李さんがおさえた演技でしっかり伝えてくれました。
内田也哉子さんが、松坂桃李さん演じる文のお母さん役! もうそんなお歳なのですね。樹木希林さんに似てきました。出番は少ないけれど、強く印象に残りました。
そして、”カフェ・calico”のたたずまいが、ほんとに素敵です。ロケ地にふさわしいお店を松本で見つけたことから、ほかの撮影地も長野県内で決めたそうです。
不思議な余韻の残る作品です。(咲)
初日舞台挨拶
写真左から 李相日監督、横浜流星(中瀬亮役)、広瀬すず(家内更紗役)、増田光桜(安西梨花)、松坂桃李(佐伯文役)、多部未華子(谷あゆみ役)、内田也哉子(佐伯音葉)
写真左から 李相日監督、横浜流星(中瀬亮役)、広瀬すず(家内更紗役)、増田光桜(安西梨花)、松坂桃李(佐伯文役)、多部未華子(谷あゆみ役)、内田也哉子(佐伯音葉)
2022年/日本/カラー/シネスコ/150分
配給:ギャガ
(C)2022「流浪の月」製作委員会
https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/
★2022年5月13日(金)全国ロードショー
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