2022年05月05日

沖縄本土復帰50周年特集 国境の島にいきる『ヨナグニ 旅立ちの島』

与那国島が舞台の映画が2本公開されます『ばちらぬん』『ヨナグニ ~旅立ちの島~』

沖縄 桜坂劇場 TEL 098-860-9555 4/30(土) ~
東京 新宿 K's Cinema TEL 03-3352-2471 5/7(土) ~
東京 UPLINK 吉祥寺 TEL 0422-66-5042 5/7(土) ~
公開劇場情報

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HPより
時代の波に翻弄される文化、言葉、暮らしそれでも島に息づくものがある。
かつて「与那国島」はアジアの交易の中継地として栄えてきた。その交流から生まれた文化と、日本や沖縄本島とも異なる独自の言語は島の誇りであった。
1972年、沖縄の日本本土復帰とともに、与那国は日本の最西端つまり国境の島になった。
その後50年の間、島はどのように移り変わり、人々の暮らしはどのように変化したのか。
そして、時代を経てもなお変わらないものとは ――
2021年、世界がコロナ禍に見舞われる中、与那国島は二つの映画を生み出した。
島に生まれ育った若き才能が描く望郷の島 『ばちらぬん』。
欧州からやって来た気鋭の視点で描かれる日常の島『ヨナグニ ~旅立ちの島~』。
与那国島を新たな角度から描いたこの作品を通して、国境の島そして復帰50周年の意味を問い直す。

与那国島ってどこ ?
与那国島ってどこ日本最西端に位置する国境の島。東京から南西に約1,900km、石垣島から127km。台湾までは111kmに位置し、晴れた日にはその山々を望むことができる。人口は約1700人、面積28.88平方kmの小さな島ながら、黒潮の激流が造り上げた壮大な自然と文化が色濃く息づく。主な産業は漁業や農業で、祖納(そない)・比川(ひがわ)・久部良(くぶら)の3つの集落がある。琉球王朝と南方文化の影響を受けた文化芸能は、ハーリー祭、豊年祭、金比羅祭などがあり、島の人々によって受け継がれている。2016年に自衛隊の駐屯が開始され、人口の15%に当たる自衛隊員とその家族250人が住民に加わり、複式学級が解消される小学校も出るなど、島の暮らしには大きな変化が生じつつある。
緯度・経度24.459251062906088, 122.99462682025388

『ヨナグニ 旅立ちの島』

『ヨナグニ』公式ポスター_R_R.jpg

監督・録音:アヌシュ・ハムゼヒアン、ヴィットーリオ・モルタロッティ
編集:Gabriel Gonzalez
製作:La Bete
出演:金城元気、中井舞風、野底みみ、小島南帆、伊東珠璃、長濵衣織

イタリア出身の映像作家アヌシュ・ハムゼヒアンと写真家ビットーリオ・モルタロッティのコンビが監督。

与那国島には高校がない。若者たちは中学卒業とともに島を離れる。別れと再会を予感しながら。卒業前の中学生たちに密着し、学校生活や、豊かな自然の中で戯れる放課後の彼らに集まってもらい、思春期の本音が漏れる会話を導きだす。島を出る不安と期待など多感な10代の思いが映し出される。
そして、失われつつある島の言葉「どぅなん」や、伝統文化が若い世代へと受け継がれる様子も描かれる。彼らを見守る島の人々、島を出ていく日の風景など、緩やかで郷愁溢れる国境の島の記録が映し出される。

HPより
イタリア出身の映像作家アヌシュ・ハムゼヒアンと写真家ヴィットーリオ・モルタロッティのコンビが与那国島に初めて訪れたのは2018年。これまでにクラゲの研究者である日本人男性を取材した『Monsieur Kubota』(2018年/ドキュメンタリー)やアメリカの原爆実験とオッペンハイマー博士の記録を追いかけた『Most Were Silent』(2018年/書籍)など、映像や写真、インスタレーションなど特定の媒体にとらわれない形で作品を制作してきた二人は、与那国の言葉"どぅなんむぬい(与那国語)"が日本で最も消滅の危機に瀕している言語の一つであること知る。最初の滞在時に“少数言語の消滅”というワードの裏側には、一つの世界が消失することに二人は気付く。その言葉を話す人が少なくなり、その言葉で表されていたはずの風景、文化、関係性もまた変化せざるをえない局面を迎えていることを最初の滞在時に感じ取った。二人は消失の危機にあるコミュニティの痕跡を3年間にわたり記録していった。島の風土や人々の暮らしを写真や映像、音声で記録し、国際的に有名な社会言語学者であるパトリック・ハインリッヒ教授とのコラボレーションのおかげで、ドゥナン語や島の象形文字であるカイダ文字についてもテキストとして記録した。
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左 ヴィットーリオ・モルタロッティ、右 アヌシュ・ハムゼヒアン


イタリア出身の映像作家が与那国島で映画を撮る。なぜ?と思ったけど、元々、この島の風土や人々の暮らしを写真や映像、音声で記録していたことがきっかけで、この島の中学生たちのことを追ったドキュメンタリー作品を撮ることになったというのが興味深い。島には高校がなく、中学を卒業すると島を離れる。やはり一旦は島を旅立つ。彼らは島に戻るのだろうか。4人の中学3年生の姿を追い、彼らの思い、島の人たちや先生の関係。狭い島の中で育まれた、関係が優しい。船で旅立つ時の、垂れ幕や、島の人たちと彼らの表情。やはり船での別れはドラマがある。
HPに「2016年には自衛隊の駐屯が開始され、人口の15%に当たる自衛隊員とその家族250人が住民に加わり、複式学級が解消される小学校も出るなど、島の暮らしには大きな変化が生じつつある」(上記記事)と、書かれていたが与那国にも自衛隊の基地が作られていたんだ。先月4月23日に行った、<第64回 憲法を考える映画の会 「憲法映画祭2022」>で上映された『島がミサイル基地になるか 若きハルサーたちの唄』を観た時に知ったが、いつのまにか南西諸島に自衛隊基地が配備されている。そのことを本土のメディアはほとん本土の人に知らせていない。知らせていてもごくわずか。すでに与那国島、宮古島、奄美大島、そして沖縄本島に基地が配備され稼動しているという。『島がミサイル基地になるか 若きハルサーたちの唄』には石垣島の島民の合意もないまま自衛隊のミサイル基地が建設されていることが描かれていた。与那国島はどうだったのだろうか(暁)。


*シネマジャーナルHP スタッフ日記
「憲法映画祭2022」に行ってきました。本日4月24日もあります!(暁)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/487046406.html

2021年/フランス/日本語・与那国語/ドキュメンタリー/カラー/74分/5.1ch
後援 イタリア文化会館
配給 株式会社ムーリンプロダクション
公式HP『ヨナグニ 旅立ちの島』

*参照
与那国島は日本の西のはてだが、シネマジャーナルでは以前、沖縄の東側の南大東島を舞台にした、やはり島に高校がない中学3年生の「島からの旅立ち」をドラマにした『旅立ちの島唄〜十五の春〜』の吉田康弘監督にインタビューをしている。この『ヨナグニ 旅立ちの島』と同じように、子どもたちは15歳で島を出て家族と離れて暮らさなければならない。日本にはそういう場所があるということを忘れてはならない。

『旅立ちの島唄~十五の春』2013 年
監督・脚本 吉田康弘さんインタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2013/shimauta/index.html
posted by akemi at 08:11| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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