監督・脚本・製作:笹谷遼平
撮影:上野彰吾
音楽:茂野雅道
出演:杉田雷麟(則夫)、小向なる(ハナ)、渋川清彦(省三)、内田春菊(則夫の祖母・幸子)、蘭妖子(タエ)、飯田基祐(則夫の父・高志)
東京オリンピックの翌年、1965年の日本は高度成長に沸いている。中学生の則夫は受験勉強のため、東京から田舎の祖母の家に戻ってきた。ふとしたことでサンカの少女ハナと出逢う。定住せず、山から山へと漂泊の旅をする人々がサンカと呼ばれていた。山をすみずみまで知り、魚や山菜を手に入れ竹製品を作り、現金が必要になったら村里に降りてそれらを売る。戸籍も家も持たない自由な暮らしをしていた。
将来に漠然とした不安を感じていた則夫は、ハナと家族に出逢ってその自由な生き方に憧れる。
笹谷遼平監督が2018年に”伊参スタジオ映画祭”へシナリオを応募、大賞を受賞して映画化が実現した作品。厳しい父の期待を背負っている則夫を、杉田雷麟(らいる)くん。安らげる場所のない則夫は、何ものにも縛られないサンカの家族が羨ましくなります。実はサンカの人々も動いていく時代に抗えず取り残され、生きる術を失いつつありました。こういう生き方をしていた人たちが、昭和の時代までいたというのを初めて知りました。ナイーブな少年と山育ちの少女の淡い交流、時代を見据える省三の強い視線も描いています。自然に抱かれて土に還っていく人が少し羨ましいです。ハナの歌が観終わった後も残りました。(白)
2022年/日本/カラー/77分
配給:マジックアワー
(C)六字映画機構
https://www.sanka-film.com/
★2022年4月22日(金)よりテアトル新宿、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
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