©Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020
監督・脚本:アンドレイ・コンチャロフスキー(『暴走機関車』『 パラダイス』)
出演:ユリア・ビソツカヤ(『くるみ割り人形 3D』『パラダイス』)、ウラジスラフ・コマロフ、アンドレイ・グセフ
1962年、フルシチョフ政権下のソ連で起きたノボチェルカッスクの虐殺。機関車工場のストライキに端を発し、大勢の市民が犠牲になりながら、ソ連が崩壊するまで約30年間隠蔽されていた事件。
本作は、84歳になるロシアの巨匠アンドレイ・コンチャロフスキーが、一人の共産党員の女性を主人公に、事件の真相に迫ったもの。
©Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020
1962年6月1日、ソ連南西部ノボチェルカッスク。
早朝、リューダは共産党市政委員会の同僚で恋人のロギノフの家を後にし食料品店に急ぐ。物不足で、なんとか入手しようと開店を待ち構えている人たちをかき分け、顔見知りの店員から乳製品や煙草を受け取る。家に帰ると、女手ひとつで育てた18歳の娘スヴェッカが工場に出勤する支度に追われている。年老いた元コサック兵の父は煙草を嬉しそうに受け取る。
リューダが美容院で身なりを整えて出勤し会議に参加中、機関車工場でストライキが発生したとの連絡が入る。リューダはモスクワから駆け付けた高官たちを交えた緊急会議に出席する。市外への情報漏洩を防ぐため、軍による封鎖と監視体制を敷いたとの報告を受ける。夜遅く帰宅したリューダは娘に工場に行くなと言い聞かせるが、「抗議するのも民主主義」と家を飛び出していく。
6 月2 日 レーニンの肖像を掲げて行進してくる大勢の労働者たちに、リューダの勤める党地方本部の建物が取り囲まれる。リューダは KGBのスナイパーが屋上に身を潜めているのを目撃する。銃声が鳴り響き、デモ参加者や市民が次々と倒れる。逃げ惑う群衆の中を、リューダは娘を探して遺体安置所や病院を駆けずり回るが、見つからない。
6 月3 日 朝、街は何事もなかったかのように平静を取り戻し、広場では夜に開くダンス・パーティーの準備が行われている。リューダはKGBのヴィクトルから隣町に多数の遺体が埋められていると聞き、彼に付き添ってもらって検問をなんとかすり抜けて隣町に行く・・・
©Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020
スターリンを信奉し、「デモを扇動した者には厳罰を」と強硬手段まで提案したリューダ。群衆が無差別銃撃に倒れる姿を目の当たりにして、それまで信じていたものが崩れ落ちます。さらに、娘が虐殺されたかもしれないと知り、一人の母親として、党の規律を破って探しにいきます。娘の捜索に協力したKGBのヴィクトルもまた、事件の隠蔽を図る国家の実態を知ってしまいます。「軍が市民に向けて発砲するのは憲法違反だからありえない」と言っていたのですが。
この事件は、30年後に真相が明かされましたが、世界には内政にしろ外政にしろ、真実が隠蔽されていることは多々ありそうです。
ノボチェルカッスクは、ウクライナにほど近い町。ロシア軍の通過地として被害を被っているのではないでしょうか。
私たちが耳にする、今ウクライナで起きていることも、西側からの報道だけなので真相はわかりません。そんなことも思い起こさせてくれた映画でした。 そして、犠牲になるのは、罪のない庶民・・・ (咲)
2020年/ロシア/ロシア語/121分/モノクロ/スタンダード/5.1ch
日本語字幕:伊藤美穂
配給:アルバトロス・フィルム 提供:ニューセレクト
公式サイト:https://shinai-doshi.com/
★2022年4月8日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開.