2022年04月03日

ふたつの部屋、ふたりの暮らし   原題:Deux

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© PAPRIKA FILMS / TARANTULA / ARTÉMIS PRODUCTIONS - 2019

監督・脚本:フィリッポ・メネゲッティ
出演:バルバラ・スコヴァ、マルティーヌ・シュヴァリエ、レア・ドリュッケール、ミュリエル・ベナゼラフ、ジェローム・ヴァレンフラン

南仏モンペリエ。眺めのいいアパルトマンの最上階。向かい合う部屋に住む二人の女性、フランス人のマドレーヌとドイツ人のニナ。表向きには仲の良い隣人だが、実は二人は恋人同士。夫に虐待されていたマドレーヌは、旅先のローマでニナと知り合い愛し合うようになり、夫の亡きあと、子どもたちも独立し、隣人を装ってお互いの部屋を行き来して暮らしているのだ。二人の夢は、アパルトマンを売ったお金で、二人の出会ったローマで家を買って一緒に暮らすこと。だが、マドレーヌは娘たちにそのことをなかなか言えないでいた。そんなある日、マドレーヌが脳卒中で倒れる。数日後、退院するが口が聞けず、麻痺が残り車椅子生活になってしまう。娘アンヌが住み込みの介護士ミュリエルを雇う。ニナはマドレーヌを見舞いたいと訪ねるが、ミュリエルに邪険に断られる。ニナが合鍵で忍び込んだところをミュリエルに見つかってしまう。ニナは、マドレーヌに会いたいために、ミュリエルにある提案をする・・・

冒頭、古い石橋のかかる川のそばの森の中のベンチに、白と黒のドレスの二人の少女。烏の群れのカァカァと鳴く声がなんとも不気味で、一筋縄ではいかない物語を暗示しているかのよう。
ローマで二人で暮らすために、マドレーヌは娘にほんとのことを打ち明けようとするのですが、なかなか言えません。マドレーヌが倒れてから、娘は母がニナを愛していることを知ってしまいます。多様な性指向があるとわかっていても、身内となればすんなりと受け入れられないでしょう。結末はぜひ劇場で!
本作はフランスを舞台にしていますが、イタリアのフィリッポ・メネゲッティ監督による初長編作品。老いても愛に生きる女性たちの姿を静かな中にも力強く描き出しています。(咲)


LGBTQについて描いた作品はここ数年、ぐっと増えてきているけれど、70代女性カップルというのはかなり珍しいのではないでしょうか。しかし、性的指向に年齢は関係ないことを改めて気づかされました。
とはいえ、第三者の立場ならさらりと受け入れられることも家族となると大分違ってきます。そして、子どもからよりも親からのカミングアウトは受け入れにくいのかもしれません。親のそれを受け入れることは自分の存在そのものを否定することに繋がるのですから。マドレーヌの子どもたちの反応は至極当然と言えるでしょう。しかし、残り少ない人生だからこそ、一緒に生きたいというマドレーヌたちの気持ちも尊重してあげたい。
なかなか難しい問題に果敢にトライしたのはてっきり女性監督かと思ったところ、本作が長編監督デビューの男性で、脚本も共同で担当していました。しかし、女性の心の機微がしっかりと描かれていました。しかもサスペンスタッチな展開に最後までハラハラし、作品に引き込まれます。監督の次回作も楽しみです。(堀)


2019 年/フランス=ルクセンブルク=ベルギー/フランス語/95 分/カラー/2.39:1/5.1ch
字幕:齋藤敦子
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本、在日ルクセンブルク大公国大使館、ベルギー大使館
配給:ミモザフィルムズ
公式サイト:https://deux-movie.com/
★2022年4月8日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
posted by sakiko at 01:11| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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