2022年03月27日

世の中にたえて桜のなかりせば

2022年4月1日 丸の内東映ほかで公開 劇場情報

「世の中にたえて桜のなかりせば」ポスタービジュアル_R_R.jpg
(C)2021「世の中にたえて桜のなかりせば」製作委員会

監督:三宅伸行
原案:鈴木均
脚本:敦賀零 三宅伸行
企画:鈴木均
エグゼクティブプロデューサー:宝田明
エンディング曲 all at once
エンディング曲プロデュース 亀田誠治
主題歌「蒼空」 Produced by 亀田誠治
歌:all at once 作詞:Ra-U , レオリ 作曲:Ra-U
出演
加咲:岩本蓮加
敬三:宝田明
敬三の妻:吉行和子
土居志央梨、郭智博、名村辰、柊瑠美、伊東由美子、徳井優

70歳、年の差コンビが描く心温まるヒューマンドラマ

「乃木坂46」で活躍する岩本蓮加17歳と2022年に芸能生活68周年を迎えた大ベテラン宝田明がW主演を務める。二人は“終活アドバイザー”として「終活屋」で働き、様々な境遇の人たちの終活を手伝う。「桜の季節」と「終活」をテーマに、70歳の年の差コンビが描く心温まるドラマ。宝田明が企画立案し、自身でエグゼクティブプロデューサーも務める。また、余命幾ばくもない宝田の妻役は、これまでも『燦燦~さんさん~』などでの共演歴のある吉行和子さん。

終活アドバイザーのバイトをしている不登校の女子高生咲(岩本蓮加)は、一緒に働く老紳士柴田敬三(宝田明)と共に、様々な境遇の人々の「終活」の手助けをしている。
危険と隣り合わせの職業で、万が一のために家族に遺書を残そうとする人、余命わずかで思い出を残そうとする人たちに寄り添って「終活」のお手伝いをする日々を送っていた。
そんな中、咲の担任で国語教師だった南雲は生徒からのイジメに遭い、教師をやめ自暴自棄の生活をしていた。咲はひきこもりの彼女の様子を見に度々先生の家を訪れていた。イジメの張本人である女子生徒たちに自分の気持ちをぶつけたりもするが、彼女の中のやるせない気持ちは消えることはなくもやもやしていた。
自身も不登校で行き場を求めている咲に、敬三は病気で老い先短い妻とかつて見た桜の下での思い出を語った。咲は敬三たち夫婦を励まそうと、敬三がかつて見たという桜の木を探しに出かけた。

④_R_R.jpg
(C)2021「世の中にたえて桜のなかりせば」製作委員会

終活、不登校、いじめなど、様々な問題を織り込んだ作品。
最初、不登校の女子高生が「終活アドバイザー」?と思ったのだけど、だんだんに板についてきて、最後の方はなるほどと思いました。「危険と隣り合わせの職業で万が一の時のために遺書を残していく」という人はなんの職業かな?と思いましたが、あっと驚く意外な展開が面白かったです。また、国語の先生が「生徒からのイジメでひきこもりになる」という話も、これまでそんなことは考えたこともなかったので、物語の展開の面白さに引き込まれて行きました。そして70歳も年の離れた同僚「終活アドバイザー」宝田明さんは、やはり存在感がありました。彼女が部下ではなく、むしろ宝田さんのほうが後輩のような仕事場での仕事ぶりも意外でしたし、脚本家や監督はその辺の観客の認識を裏切るような展開を狙っているようにも思いました(笑)。
最後は老い先短い妻の役で吉行和子さんが出てきて、ふたりがかつて見たという桜の話を聞き、桜探しに出かける若者たち。桜はやはり、命のはかなさを表すアイテムなのかもしれません。
この映画の公開前の3月14日(月)に宝田明さんは急逝され、遺作になりました。
享年87歳。ご冥福をお祈りします。朝鮮半島に生まれ、満州からの引き揚げ者としての体験から平和の大切さを語っていました。これは、美しい桜をテーマに初めてプロデュースを手がけた作品でした(暁)。


宝田明さんは、戦争体験者として反戦の思いを伝えたいと、「桜」をモチーフに本作を企画されました。今年の桜をご覧にならないで旅立たれてしまいました。ご冥福をお祈りするばかりです。
日本人にとって、格別な思いのある桜。それは、花の命が短いからでしょうか・・・
春の訪れを感じさせてくれるからでしょうか・・・
満州でソ連軍の蛮行を目の当たりにされた宝田明さんにとって、満開の桜は平和な日本を感じさせてくれるものだったのかもしれません。
映画の中で、宝田さん演じる終活アドバイザー柴田が、「満州から引き揚げてきて、自分が外国人のようで学校になかなかなじめなかった」という言葉がありました。
亡き母は、台湾からの引揚者。満州や朝鮮半島にいた方のような壮絶な思いはしていないものの、思い出の詰まった家を後にし、同級生とも散り散りになりました。青春時代を戦争に翻弄され、「戦争反対」と、よく小さな声で叫んでました。
花が大好きだった母。それでも桜には特別な思いがあったようで、毎年、桜を眺めるたびに、「来年も桜を観ることができるかしら?」とつぶやいていました。今や、私自身が来年も観られるかしらと思う歳になってしまいました。(咲)


☆スタッフ日記に書いた追悼記事です。
宝田明さんのご冥福をお祈りしています  (咲)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/486075032.html

③_R.jpg
(C)2021「世の中にたえて桜のなかりせば」製作委員会

製作:埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ TOKYO MX ビーイング 東映ビデオ
製作プロダクション:アルタミラピクチャーズ デジタルSKIPステーション 配給:東映ビデオ

公式サイト:https://www.toei-video.co.jp/sakuramovie2022/

posted by akemi at 20:49| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください