2022年03月25日

アネット(原題:Annette)

anett.jpg

監督:レオス・カラックス
原案・音楽 :スパークス
歌詞:ロン・メイル ラッセル・メイル & LC
撮影:キャロリーヌ・シャンプティ
出演:アダム・ドライバー(ヘンリー)、マリオン・コティヤール(アン)、サイモン・ヘルバーグ(指揮者)

ロサンゼルス。 攻撃的なユーモアセンスをもったスタンダップ・コメディアンのヘンリーと、国際的に有名なオペラ歌手のアン。“美女と野人”とはやされる程にかけ離れた二人が恋に落ち、やがて世間から注目されるようになる。だが二人の間にミステリアスで非凡な才能をもったアネットが生まれたことで、彼らの人生は狂い始める。

ダーク・ファンタジー・ロック・オペラってどんなの?と試写に行きました。スパークスが録音を始めるのかスタンバイ中、カラックス監督が声をかけ、ここからスタート。娘とスパークスと一緒に外に出て、キャストたちが合流し物語に引き込む変わったオープニングです。
アンが人気のオペラ歌手、哀切な歌で薄幸のヒロインを演じます。辛辣なギャグで笑わせるヘンリーが「真実を言って殺されないのはこの仕事だけ」というのが、刺さります。
マリオン・コティヤールはエディット・ピアフを演じたことがありました。カイロ・レンも歌うとは!いやいやアダム・ドライバー、何でもやれるんですね。タイトルは娘の名前ですが、想定外の姿でした。愛憎濃い物語がめくるめく映像の中で展開し、嵐の船の場面では酔いそうなほどです。カメラマンはどこにいたのでしょう?
2人の娘をとり上げる産科医が古舘寛治さんでおもいがけない登場にびっくり。他にも日本人キャストがいますので、よく見ていて。主演の2人が繰り返し歌う「We Love Each Other So Much」が残ります。(白)


子どもが生まれることで夫婦の関係性が変わることがよくあります。この作品の主人公夫婦がまさにそれ! 妻は母になれましたが、夫は父になり切れない。そこに夫婦間の経済価格差も絡んでくるから問題はさらにややこしくなる。精神的に追い詰められていくヘンリーを演じきったアダム・ドライバーはさすがなのですが、それに負けずとも劣らなく素晴らしいのが、娘のアネットを演じたデヴィン・マクドウェル。5歳の幼い少女にもかかわらずアダム・ドライバーと堂々と渡り合っているのには驚きました。父親にしっかりと引導を渡していました。
また本作はロックオペラ形式で、音楽をスパークスが担当しています。洋楽に疎いので、この作品で初めてスパークスを知りましたが、ロン(キーボード)とラッセル(ボーカル)のメイル兄弟によって結成されたバンドです。スパークスが監督に20曲ほどのデモと『アネット』のアイデアを送ってきたことがそもそものきっかけとか。冒頭シーンに本人たちも登場。しかめっ面のロンが何とも言えずいい味を出しています。音楽もクセになる感じでしばらく頭から離れませんでした。(堀)


2020年/フランス・ドイツ・ベルギー・日本・メキシコ合作/カラー/シネスコ/140分
配給:ユーロスペース
(C)2020 CG Cinema International / Théo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinema / UGC Images / DETAiLFILM / Eurospace /
https://annette-film.com/
★2022年4月1日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 21:57| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください