2022年03月25日

マイライフ、ママライフ

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監督・脚本:亀山睦実
脚本監修:狗飼恭子
撮影:島大和
音楽:久保田千陽
主題歌:「Hello 」作詞・作曲・編曲 :小玉しのぶ
出演:尾花貴絵(大内綾)、鉢嶺杏奈(三島彩織)、水野勝(大内健太郎)、池田良(三島博貴)、柳英里紗(野田結衣)、中田クルミ(村井実加子)

結婚3年の綾は、まだ子供を持ちたくない。夫や義父母は「そろそろ」と期待している。今の仕事が面白いことに加えて、綾には妊娠に躊躇する理由があった。
ワーキングママの彩織には子どもが2人。本当にしたい仕事は別にあったが、保育所や勤務時間の兼ね合いで決めた事務職をしている。夫はあまり手を貸してくれない。綾は仕事で「家族留学」というプロジェクトに参加した。子どものいない夫婦が子育て中の夫婦の家を訪ね、食事や遊びを共にして交流する。この縁で出逢った彩織と綾はその後も連絡を取り合って、お互いの悩みを打ち明けられるようになった。

冒頭にたくさんの女性たちがあげたツイートが次々と流れます。「そうそう」と同意すること必至。「女性が活躍する時代」と言ったのは誰だったでしょう?未だ女性の政治家も企業の管理職も少なく、ジェンダーギャップ指数(GGI)は156ヶ国中120位の日本。「指導的役割の女性を3割に」の目標は2030年に繰り延べです。
職場の男性も夫も子育てや家事は女性がやるものという意識がなかなか抜けていません。耳の痛い男性諸氏が多いでしょう。ぜひカップルで観てお互いの心のうちを話すきっかけにすることをお勧め。子どもは意外に大人をちゃんと見ています。保育園児が綾にかける台詞にホロリとしました。(白)


平成元年生まれの主人公たちと同世代の長女が昨年、出産。育休を取っていましたが、この4月から仕事に復帰します。しかし、娘の友人には保活がうまくいかず、もう一年育休を取る人もいます。またもう少し早く出産し、育児と仕事の両立に苦労している友人も。娘世代のリアルがこの作品には詰まっていました。監督は自身の経験だけでなく、かなりリサーチして脚本を書かれたことでしょう。だからこそ、ハッピーエンド的なラストに「それでいいの?」と思いましたが、映画としてまとめるにはそれしかなかったのかもしれません。映画のラストにリアルを感じる日が来るためには、娘世代が男の子をどう育てるかにかかっているような気がします。(堀)

私は結婚する気もなかったし、子供を持ちたいと思ったこともないので、「結婚し、仕事も続け、子供を産むかどうするかということに悩む」ということに対しては、幾分冷ややかな目で見ていた。というか、子供を産んで育てながら仕事を続けることは大変と思っていたから、結婚しなかったというほうが正しいかもしれない。「なぜ女だけが、その部分で苦労しなければならないんだ」と思っていた。
何より、「結婚していたり、子供がいる女のほうが、社会的地位が高い」という考え方に反発していた。そして、子供がいるかいないかで、自分の生き方が全然変わってくる。私は両親の姿を見て「子供のために自分自身を生きられないという生き方はしたくない」と思った。70年代のウーマンリブの運動の中で、私はそういう思いを持つようになったけど、運動の中では、逆にシングルマザーを選んだ人もいた。そして、その仲間たちの中では、やはり結婚制度が問題という認識が多かった。男性の協力と言っても、家族制度の中で育った男はお米をとぐことすらわからない人もいた。
家族の中で、家事育児は女がやるものと植え付けられた男たちと、女は結婚して家庭に入ればいいという考え方。そんなものに反発して生きて来た。「男は仕事、女は家庭」ということに縛られたくない。そういうものを変えていこうと頑張った女たちがいた。でも、今、この映画を観て、今も女が仕事を持ち、子供を産むということの苦労、悩みはその頃と変わっていないなとつくづく思った。それでも、あの頃よりは社会の働く女性へ向ける目は随分変わったとは思う。少なくとも「女だから、こうしなくてはならない」と押し付けられることに屈しない女が増えたとは思う。でも雇用形態はよくなってはいないような気がする。女性の正社員が少なくなり、臨時職やパートが増えている気がする。今年(2022)4月から育休制度が変わって、男女とも仕事と育児を両立できるように、産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などの改正が行われたそうだけど、男性の育児休暇は取りやすくなるのかな。男女とも育休が取りやすくなれば、少しは変わってくるのでしょう。少しは期待していいのかな?(暁)。

育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 - 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf

2021年/日本/カラー/88分
配給:ムービー・アクト・プロジェクト
(C)2021 「マイライフ、ママライフ」製作委員会
https://mymom.mystrikingly.com/
★2022年4月1日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 21:50| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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