2022年03月06日

アンネ・フランクと旅する日記  原題:Where Is Anne Frank

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(C)ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND


監督・脚本:アリ・フォルマン(『戦場でワルツを』『コングレス未来学会議』)
アニメーション監督:ヨニ・グッドマン(『戦場でワルツを』『コングレス未来学会議』)
アートディレクター:レナ・グバーマン(『コングレス未来学会議』)
オリジナルスコア:カレン O(『かいじゅうたちのいるところ』)、ベン・ゴールドワッサー
原案:「アンネの日記」(ユネスコ「世界記憶遺産」2009 年登録)
協力:アンネ・フランク基金
声の出演:ルビー・ストークス、エミリー・キャリー

「アンネの日記」:第二次世界大戦下、ユダヤ人の少女アンネ・フランクが“空想の友達”キティー宛に綴っていた日記。1942年6月12日、13歳の誕生日に父・オットーから贈られたチェック柄の日記帳に、ナチスから身を潜めていた隠れ家での生活やペーターとの初恋などを書き連ねた。1947年、アウシュヴィッツを生き延びたオットーによって初出版。

現代のアムステルダム。「アンネの日記」オリジナル版を公開中の博物館<アンネ・フランクの家>の前には、早朝から大勢の人々が並んでいる。前夜、激しい嵐のせいで日記に異変が起き、アンネの“空想の友達”キティーが現れる。アンネと過ごした日から、既に75年経ったことを知らないキティーは、アンネを探し回る。日記を読み始めたキティーは時をさかのぼり、青春を謳歌していたアンネがナチスから身を潜めるため、家族と共に隠れ家に移る姿を見る。キティーが日記を手放すと、そこはまた現代。キティーは、アンネが恋をしていた少年と同じ名前のペーターと出会う。彼から、「キティーが日記を持って外に出ると姿が現れるが、日記を手放すとキティーは消えてしまう」という法則を発見したと聞かされる。日記を携えて街に出たキティーは、日記を盗んだ少女として警察に追われる。捕まる寸前、ペーターに助けられたキティーは、彼が仲間と運営する難民のためのシェルターに匿ってもらう。難民たちが強制送還させられそうなことを知り、世界的に貴重な財産である「アンネの日記」の力で、難民たちの命を救おうとする・・・

予備知識なしに観て、ホロコーストの犠牲になったアンネ・フランクと、現在の社会が抱える紛争による難民や人種差別の問題を無理なく自然に繋げる語り口に感心しました。
本作の企画は、アンネ・フランク基金(1963 年設立)がアンネの遺族とともに 2009 年、アニメーション映画制作を決定したことから始まりました。「アンネの日記」が1947年に出版されて 75 周年、最初の映画が作られてから 65 年後の完成を目指した、約 10 年がかりのプロジェクト。白羽の矢を立てられたのは、『戦場でワルツを』(08)で国際的な脚光を浴びたアリ・フォルマン監督。彼に託された条件は、「現在と過去をつなぐこと」、「アンネが最期を迎えるまでの7ヶ月間を描くこと」。アリ・フォルマン監督は、アンネが空想した親友キティーを現代によみがえらせる形で、キティーが日記に書かれていないアンネの最期の日々をたどり、さらには今の社会が抱える難民問題にも繋げて描いたのです。
監督は、アンネたちと同じ週にアウシュヴィッツに到着した両親から、ホロコーストの恐ろしい話を小さいときから聞かされてきて、逆に子どもたちには空想を膨らませる形で伝えるのがふさわしいと考えたそうです。思えば、私にとっては小中学生の時に、何度も読んだ「アンネの日記」を通じて、なぜユダヤ人が排斥されるのかに関心を持ち続けてきました。1冊の本が及ぼす影響の大きさを感じます。まだ本を読んでいない子どもたちには、この映画が原作を読むきっかけになればと願います。(咲)


アニメーションならではの表現が美しい作品。キティーが現れたり消えたりする場面も見入ってしまいます。アンネの”空想の友達キティ”はこんな姿なんですね。アンネに向かってキティーが「私を赤毛にするなんて!」と怒る場面があります。気のおけない女の子同士の口喧嘩のようで、思わず口元が緩みます。自分たちと同じように、血の通った女の子があの時代に生きていたのだ、と親近感がわくはず。
日記から現れたキティーは初めて外の世界に出て、様々な体験をします。ペーターと出逢うストーリーにしてくれた監督にお礼が言いたい気分になりました。(白)


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『戦場でワルツを』アリ・フォルマン監督来日記者会見
http://www.cinemajournal.net/special/2009/bashir/index.html


東京アニメアワードフェスティバル 2022の招待作品として上映決定!
 3月13日(日)13:00~  池袋HUMAXシネマズ


2021 年/ベルギー・フランス・ルクセンブルク・オランダ・イスラエル/英語/99 分/ビスタサイズ/5.1ch
日本語字幕:松浦美奈
後援:オランダ王国大使館/イスラエル大使館
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:https://happinet-phantom.com/anne/
★2022年3月11日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開


posted by sakiko at 03:48| Comment(0) | オランダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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