2022年02月27日
ボブという名の猫2 幸せのギフト 原題: A Gift from Bob
監督:チャールズ・マーティン・スミス(『ベラのワンダフル・ホーム』『イルカと少年』)
原作:ジェームズ・ボーエン「ボブが遺してくれた最高のギフト」&「ボブが教えてくれたこと」(辰巳出版)
製作:アダム・ロルストン(『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』)
脚本・製作:ギャリー・ジェンキンス(『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』)
出演:ルーク・トレッダウェイ(『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』『不屈の男 アンブロークン』)、クリスティーナ・トンテリ=ヤング(「シスター戦士」Netflix)、ファルダット・シャーマ(『ゼロ・グラビティ』)、アンナ・ウィルソン=ジョーンズ(「女王ヴィクトリア 愛に生きる」)
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(2016年、監督:ロジャー・スポティスウッド)の続編。
ストリート・ミュージシャンとして生計を立てていたホームレスの青年ジェームズが、一匹の野良猫ボブと出会い、困難を乗り越え、一躍ベストセラー作家になった前作から5年。
ボブを連れて出版社のクリスマスパーティーに出席したジェームズ。場違いを感じて早々に抜け出した帰り道、路上演奏違反で警察官に取り押さえられているホームレスの若者ベンを助ける。ジェームズは自暴自棄になったベンに、路上で過ごした最後のクリスマスの話を始める・・・
てっきり、ベストセラー作家として活躍しているジェームズの物語かと思っていたら、苦難の時代のもう一つのエピソードでした。寒い中、ボブを伴って路上ライブで日銭を稼いでいたジェームズは、動物福祉担当職員に目を付けられてしまい、引き離されそうになったことがあったのです。それをどう乗り越えたかを、かつての自分を見る思いでベンに語って、励ますという物語。
ジェームズをいつも助けてくれていたのが、近所で小さな店を営むヒンドゥー教徒のインド人のムーディでした。彼の語る小話が、実に含蓄があって心に残りました。
*農民が作ったバター1キロを、店で小麦や砂糖と交換してもらっていました。次にバターを持ち込んだら、900gしかないと言われます。「貧しくて秤を持ってないので、1キロの砂糖で重さを測った」と答える農民。
*3人の巡礼がいました。一人目は、後ろに良いことを、前に悪いことを抱えていたら、重くて前に進めなかった。
二人目は、前に良いこと、後ろに悪いこと・・・やはり重くて前に進めなかった。
三人目は、良いことを前に、後ろに穴をあけて悪いことを入れたら、どんどん落ちて巡礼地にたどり着いた。
ムーディーは、クリスマスの日に息子を亡くしているのです。かつてはくよくよしていたけれど、今は息子のいい思い出だけを持って過ごしていると語り、過去の記憶を未来の重しにするなと諭します。
ヒンドゥー教徒のムーディーのほか、シク教のターバンの男性、アジア系の女性でイギリスに里子に貰われてきた福祉事務所の女性、ジェームズに1000アルバニア・レクのチップを渡したアルバニア人、モロッコ風の帽子を被った少年たちなどが登場して、ロンドンがいかに人種のるつぼかを感じさせてくれました。
そして悲しいかな、名優・猫ボブは2020年6月に亡くなり、本作はボブの遺作になってしまいました。(咲)
猫に対して興味がない私は、前作の『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』観ていなかったし、ストーリーも全然知りませんでした。ただ、チラシだけは何度も見ていて知っていました。今回初めて、この作品を観て、「ああ、気になっていたんだから、観ておけば良かった」と思いました。飼い主の肩に乗って街を行く猫ってかっこいい!!そんな芸当ができるのかと思ってしまった。まだ無名で街角でストリート・ミュージシャンとしてチップをもらいながら生活している青年の話だったけど、その生活にボブはかけがえのない相棒だったんだと、後半、映画を観ながら涙が出てきた。この生活の日々を書いてベストセラーになったというのが1作目なのだろうか。機会があったら観てみたい(暁)。
2020年/イギリス/英語/92分
配給:コムストック・グループ
提供:テレビ東京、コムストック・グループ
配給協力:REGENTS
公式サイト:http://bobthecat2.jp/#
★2022年2月25日(金)より、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
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