2022年02月20日

選ばなかったみち(原題:The Roads Not Taken)

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監督・脚本:サリー・ポッター
撮影:ロビー・ライアン
音楽:サリー・ポッター
出演:ハビエル・バルデム(レオ)、エル・ファニング(モリー)、ローラ・リニー(リタ)、サルマ・ハエック(ドロレス)

メキシコ人移民の作家のレオは若年性認知症を患い、誰かの助けなしには生活できなくなっていた。通いのヘルパーと離婚した元妻との娘モリーが訪ねてくれるが、徐々に意思疎通も困難になっている。モリーは職場に遠慮しながら、父親に付き添って病院へと急ぐ。娘と同じ時間を過ごしながら、レオの脳裏をめぐるのは現実世界ではない。かっての初恋の相手、ドロレスの面影と故郷の風景ばかり。あのとき別れなければ、どうなっていたのか、自分は妻と娘を犠牲にしていたのか、と幻想は止まらない。

サリー・ポッター監督が自身の弟を介護した経験をもとに脚本を執筆、映画化されました。父親レオの脳内での幻想風景と、現実を生きる娘モリーの24時間のストーリーです。選ばなかった道、は混乱するレオが過去の幻想の中で逡巡する道です。ああしていたら、こうしていたらというのは、現実世界の中でも思うことですが、日々の暮らしの中でしょっちゅう浮かぶわけではありません。
現実世界から浮遊しているレオはずっとその中にいて、そんな父親を理解し支えようとするモリーの負担はとても大きいのです。ことにその日は、モリーにはとても大切な仕事がありました。何度も職場に電話をかけるモリーが痛々しく、愛情はわかったからもう少し他人の手を借りたらいいのにと思ってしまいました。
若年性認知症はその字のとおり、年齢に関わらず若い人にも起こります。動脈硬化を起こさないように、ストレスや疲労を貯めないようにするくらいしか予防を思いつきません。難しい主題を初共演で演じたハビエル・バルデムとエル・ファニングに泣かされました。(白)


第70回ベルリン国際映画祭(コンペティション部門 出品)

2020年/イギリス・アメリカ合作/カラー/シネスコ/86分
配給:ショウゲート
(c) BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE AND AP (MOLLY) LTD. 2020
https://cinerack.jp/michi/
https://www.facebook.com/showgate.youga/
★2022年2月25日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 15:58| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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