2022年02月13日
ホテルアイリス 原題:艾利絲旅館
監督:奥原浩志(『黒四角』)
製作:北京谷天傳媒有限公司 長谷工作室 紅色製作有限公司
原作:小川洋子(©幻冬舎「ホテル・アイリス」)
出演:永瀬正敏、陸夏(ルシア)、寛一郎、菜葉菜、大島葉子、馬志翔(マー・ジーシャン)、李康生(リー・カンション)
寂れた海沿いのリゾート地─そこで日本人の母親が経営するホテル・アイリスを手伝っているマリは、ある日階上で響き渡る女の悲鳴を聞く。赤いキャミソールのその女は、男の罵声と暴力から逃れようと取り乱している。マリは茫然自失で、ただならぬその状況を静観している。一方で、男の振る舞いに激しく惹かれているもう一人の自分がいて、無意識の中の何かが覚醒していくことにも気づき始めていた。
男は、ロシア文学の翻訳家で、小舟で少し渡った孤島で独りで暮らしているという。住人たちは、彼が過去に起きた殺人事件の真犯人ではないかと、まことしやかに噂した。またマリも、台湾人の父親が不慮の事故死を遂げた過去を持ち、そのオブセッションから立ち直れずにいた。
男とマリの奇妙な巡り合わせは、二人の人生を大きく揺さぶり始める。
奥原監督が、金門島の海辺の集落・北山にある民宿「北山23-3号」に出会い、ここでなら『ホテルアイリス』が撮れると妄想が膨らみ、前々から脚本も書いていた『ホテルアイリス』が出来上がったとのこと。どこか哀愁漂うレトロな「北山23-3号」に泊まってみたくなること請け合います。
ホテル・アイリスと、孤島の翻訳家が暮らす家で繰り広げられる物語は、妖しく官能的。変質的な男も永瀬正敏が演じると、どこか紳士的に見えてしまうから不思議。ロシア文学の翻訳家という役柄故でしょうか・・・
逆に、海辺の売店を営み孤島への舟の船頭役の李康生は、最初に出てきた時から、中年のエロ親父に見えてしまいました。撮影現場には、蔡明亮監督の姿もあったそうです。なんとも贅沢な話です。そんな中で、若い娘マリを演じた陸夏(ルシア)は、台湾で雑誌のモデルやCMで人気のタレントで、映画は初出演。アニメで培った日本語を駆使しています。彼女に変な色気がないことがまた、映画『ホテルアイリス』の謎めいた世界を作り出しているように思えました。(咲)
2021年/日本・台湾/100分/日本語・中国語/ビスタサイズ/5.1ch/DCP・Blu-ray
配給:リアリーライクフィルムズ、長谷工作室
©長谷工作室
公式サイト:http://hoteliris.reallylikefilms.com/
★2022年2月18日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋 他にて全国公開
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