2022年01月30日

ギャング・オブ・アメリカ  原題:LANSKY

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監督・脚本:エタン・ロッカウェイ
出演:ハーヴェイ・カイテル(『ピアノ・レッスン』『レザボア・ドッグス』『タクシードライバー』)、サム・ワーシントン(『アバター』『ターミネーター4』『タイタンの戦い』、ジョン・マガロ(『オーヴァーロード』)、アナソフィア・ロブ(『チャーリーとチョコレート工場』)、ミンカ・ケリー(『大統領の執事の涙』)、デヴィッド・ジェームズ・エリオット(『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』)、ダニー・A・アベケイザー(『THE ICEMAN 氷の処刑人』)、デビッド・ケイド、シェーン・マクレア、ワス・スティーブンス、ジェームズ・モーゼズ・ブラック、アーロン・アバウトボール、ジョエル・ミカエリー

マイヤー・ランスキー。禁酒法時代から戦後まで、アメリカの暗黒街を牛耳った伝説のギャング。
1981年、マイアミ。作家のデヴィッド・ストーンが、老いたマイヤー・ランスキーを訪ねる。伝記を書きたいというデヴィッドに、「俺が死ぬまで誰にも見せるな」と条件をつけて、語り始める。

1902年、ユダヤ系ロシア人として生まれたランスキー。1912年、10歳の時、ニューヨークにやって来た。貧しい移民の子がのし上がるには、危ない橋を渡るしかない。不良グループのボスだったラッキー・ルチアーノが運び屋を探していると悪の世界に誘われる。
1920年代初期は、酒の密輸ビジネスや地下賭博場に関わり、組織の規模を拡大。1931年、ルチアーノがニューヨーク・マフィアを制すると、殺し屋集団《マーダー・インク》の設立に関わった。1934年に全米犯罪シンジケートを立ち上げ、ニューヨーク外に進出し、全米各地に次々とヤミ賭博の拠点を作ってゆく。第2次大戦中は、米国内でのドイツのスパイ工作に対抗する作戦に関与。戦後、キューバに進出したランスキーは、カジノ経営で巨万の富を築く。FBIの追及で《マーダー・インク》の殺し屋たちは次々と逮捕されるが、ランスキーの悪事が暴かれることはなかった。
イスラエルのメイア首相の代理人と称するヤリーフ氏が援助を求めてくる。多額の寄付に「イスラエルの民を代表して感謝します」とヤリーフ氏。1970年に脱税容疑を受けてイスラエルに逃亡する。祖父のお墓のあるイスラエルで余生を送りたいと思うも、メイア首相がニクソン大統領に武器を要求し、その見返りにランスキーを米国に送還してほしいと主張。強制送還されるも起訴は免れた。その後、マイアミの閑静な隠れ家で暮らしている。
数奇な人生を語り終え、「家族のもとに帰りなさい」とデヴィッドに語るランスキー・・・

デヴィッドが最初にランスキーに会ったとき、「歴史は人によって見方が違うのが面白い」と言われます。ランスキーの長い人生の物語を聞き終えたデヴィッドが、「愛する人の目にどう映るか・・・評価は一つとランスキーは教えてくれた」と語っていたのが心に残りました。
そして、マイヤー・ランスキーという伝説のギャング王。デヴィッドの取材中、「ユダヤ人のジョーク」が飛び出します。ルチアーノが、「出会った時、少年マイヤーは彷徨うユダヤ人だった」と語っています。ランスキー自身も、あれだけ多額の寄付をして尽くしたイスラエルから追い出され「彷徨うユダヤ人」と自嘲しています。老いて静かに暮らすランスキーが、アメリカのモダンなシナゴーグで祈る姿に、どこまでもユダヤ人なのだと感じさせられました。
1983年1月、肺癌で死去。3億ドル以上の資産を残したと言われていますが、スイスの銀行口座も札束も発見されず、「失われた資産」は、いまだに見つかっていないとのこと。どこかで有効利用されているといいのですが・・・ (咲)


2021年/アメリカ映画/英語/119分/シネマスコープ
字幕:草刈かおり
提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム
★2022年2月4日(金) 新宿バルト9ほか全国公開


posted by sakiko at 00:27| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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