2022年01月27日
ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス(原題:Post Mortem)
監督・脚本:ピーター・ベルゲンディ
撮影:アンドラーシュ・ナギー
出演:ヴィクトル・クレム、 フルジナ・ハイス、 ガブリエラ・ハモリ、 ユディット・シェル
トーマスは第一次世界大戦で爆風で瀕死の重傷を負った兵士。ある老人に助けられ、帰還して”遺体写真家”として生計をたてる。死者を埋葬する前に、生前のように再現して遺族と撮影するもので最後の写真が残ると遺族に喜ばれていた。ある日、怖がることなくその仕事ぶりを見る少女アンナと、彼女の村に向かうことになった。流行りのスペイン風邪で亡くなった多くの村人が、厳しい寒さで土が凍り、埋葬できないまま腐敗もせずに横たわっていた。何人かを望み通りに撮影するが、現像するとそこには不審な影が映っている。村では悪霊のせいだと言われる現象が続いていて、トーマスはその解明に乗り出す。
アカデミー賞国際長編映画部門ハンガリー代表作品。ハンガリーの映画というと、タル・ベーラ監督が浮かびます。ほかに作品では『サウルの息子』『心と体と』でしょうか。国の代表作品にホラー作品?と思いましたが、死体や怨霊は登場するものの、理不尽に命を奪われた死者や遺族の悲しみが迫ってくる物語でした。遺体と一緒に写真を撮るというのも、実際に庶民の間で行われていたことなのだそうです。
第一次世界大戦直後に流行したスペイン風邪は世界中に蔓延し、多くの人々が亡くなりました。アンナに導かれて、トーマスはたくさんの死者と対面します。中に風邪が原因ではない遺体を見つけて、その謎解きが始まります。
陰鬱な画面の中で孤児のアンナが可愛らしく、ほっとします。数少ない協力者の未亡人役の方も凛として、きっと有名な女優さんなのでしょう。モノクロかと思うような沈んだ色彩ですが、ほぼ100年前の寒村の暮らしや風景の映像が美しいです。遺体や怨霊役の俳優さんの演技にご注目を。「このロケ地は観光名所(センテンドレ市の野外博物館)で、別の季節はとても美しいところです」と、ハンガリー大使からのコメントより。(白)
2020年/ハンガリー/カラー/116分
配給:プレシディオ
©SZUPERMODERN STÚDIÓ
「未体験ゾーンの映画たち2022」
https://ttcg.jp/movie/0816900.html
https://twitter.com/htc_shibuya
★2022年2月4日(金)よりヒューマントラスト渋谷にて上映
*スケジュールをHPでお確かめのうえお出かけください。
監督とプロデューサーからのメッセージと予告編はこちら
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