2022年01月23日

名付けようのない踊り

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© 2021「名付けようのない踊り」製作委員会

脚本・監督:犬童一心(『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『のぼうの城』)
エグゼクティブプロデューサー:犬童一心 和田佳恵 山本正典 久保田修 西川新 吉岡俊昭 プロデューサー:江川智 犬童みのり
アニメーション:山村浩二 音楽: 上野耕路 音響監督:ZAKYUMIKO 撮影:清久素延 池内義浩 池田直矢 編集:山田佑介
出演:田中泯
石原淋 / 中村達也 大友良英 ライコー・フェリックス / 松岡正剛

田中泯のダンスと旅に出る
ポルトガル-東京-広島-愛媛-パリ-福島そして山梨・・・
72歳から74歳の田中泯を追ったドキュメンタリー

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© 2021「名付けようのない踊り」製作委員会

ポルトガル、サンタクルス。石畳の街角に佇む田中泯。
おもむろに動き出す。
それは踊りといっていいのか・・・
1945年生まれ。クラシックバレエとアメリカンモダンダンスを学び、30代、モダンダンスの舞台に立つ。1968年、初めて土方巽の踊りを観て打ちのめされる。「踊りとは何か」と考える。
1978年、33歳のとき初めてパリで踊る。世界中で踊るようになるが、完成した踊りはない。日々違う。旅芸人のようと語る。それを「場踊り」と呼ぶ田中泯。観ている人と自分の間にダンスが生まれるのが理想だ。観ている人もまたダンサーなのだ。
40歳の時、「桃花村」と吉田一穂の随筆から名付けた山梨の山間の地で畑仕事をして作った体で踊ると決めた田中泯。日焼けした肉体で踊る。
57歳の時、山田洋次監督に乞われ、『たそがれ清兵衛』(02)に出る。映画初出演で、どう演じていいかわからず、「踊った」と語る。
モンパルナスに眠る敬愛するフランスの哲学者ロジェ・カイヨワの墓を訪ねる。名前のない墓。「ミミクリ」という擬態や模倣を伴う遊びの類型を示す概念を提唱した人物。
福島・浪江町の廃屋でクモの動きを夢中で模倣する田中泯・・・

申し訳ないことに『たそがれ清兵衛』での田中泯さんが記憶になくて、昨年、『HOKUSAI』で晩年の北斎を演じられたのを観て、初めて凄い方がいると認識したのでした。
何も知らずに、突然、そばで田中泯さんが場踊りを始められたら、変人と思ってしまうかもしれません。気恥ずかしい感じもします。知る人ぞ知るで、広場や街角で大勢の人が取り囲むこともあるのですが、田中泯さんはゆっくりと自分のペースで動きます。「世界には違う速度が同時にある」のだと語ります。

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© 2021「名付けようのない踊り」製作委員会

山村浩二によるアニメーションで、子ども時代のことが描かれます。泯さんは、「私の子ども」と子ども時代のことを語ります。近くに朝鮮人の家があって、普段いない父親がたまに帰ってくると宴をしていたというエピソードがありました。泥棒稼業で出所祝いの宴だったという話が妙に印象に残りました。そして、警察官だった泯さんのお父さんのコートは、今は踊りの衣装になっているそうです。そのコートを羽織ったお父さんが、朝鮮人の泥棒さんを捕まえたかもしれないと想像すると、ちょっと楽しい。(咲)


*記者会見*
1月24日(月)日本外国特派員協会(千代田区 丸の内)で開催された記者会見に田中泯と犬童一心監督が登壇。
田中泯がポルトガルで踊る際に、犬童監督を誘ったことが制作のきっかけとなり、2年間に渡り、約30もの田中の踊りを追いかけ続けて出来た本作について、二人が語りました。
田中は「僕の踊りは、その場での1回限りのものなので、そのまま映像化しても、その時々の空気は伝わらない。犬童監督が編集をすることによって、踊りを再構築してくださいと伝えました。僕自身は踊りを踊る人間としてカメラの前に居ただけです。普段の撮影と違い、よーいスタートもなければ、NGもありません」と振り返りました。
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メイキング_copyright Rin Ishihara
© 2021「名付けようのない踊り」製作委員会

犬童監督は「どういう映画にしようか決めないで、ひたすら泯さんの踊りを追い掛けました。その後に、シナリオを書いて、踊りを組み直しました。その際に大切にしたのは、自分が実際に泯さんの踊りを実際に観に行った時の時間感覚です」と説明。
泯さんの「世界には様々な文化があり、言葉と共に発展してきましたが、言葉が生まれる前の“沈黙”という文化は間違いなく世界共通。人間は一つの種。私たちはホモサピエンスです。その身体の生んだ文化の一つして、踊りはある」という言葉に真髄を感じました。
(記者会見には参加できなかったのですが、配給・宣伝のハピネットファントム・スタジオ様からいただいたレポートより印象的な部分を掲載させていただきました)


2021/日本/114分/5.1ch/アメリカンビスタ/カラー/G
助成:文化庁文化芸術振興費補助金 協賛:東京造形大学 アクティオ
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ 制作プロダクション:スカイドラム
製作:「名付けようのない踊り」製作委員会(スカイドラム テレビ東京 グランマーブル C&Iエンタテインメント 山梨日日新聞社 山梨放送)

公式サイト:https://happinet-phantom.com/unnameable-dance/
★2022年1月28日(金)より ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9、Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー

posted by sakiko at 18:37| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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