2022年01月16日
ブラックボックス 音声分析捜査(原題:Boite noire)
監督:ヤン・ゴズラン
脚本:ヤン・ゴズラン、シモン・ムタイルー 、ニコラ・ブーベ=ルブラー
撮影:ピエール・コットロー
出演:ピエール・ニネ(マチュー・ヴァスール)、ルー・ドゥ・ラージュ(ノエミ・ヴァスール)、アンドレ・デュソリエ(フィリップ・レニエ)
ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落。乗客・乗務員316人全員の死亡が確認される。司法警察の立会いの下、航空事故調査局の音声分析官が、フライトレコーダー、通称“ブラックボックス”を開く。いつもなら責任者のポロックに同行するのは、最も優秀なマチューだったが、天才的なあまり孤立していた彼は外されてしまう。だが、まもなくポロックが謎の失踪を遂げ、引き継いだマチューは「コックピットに男が侵入した」と記者会見で発表する。やがて乗客にイスラム過激派と思われる男がいたことが判明、マチューの分析は高く評価され、責任者として調査をまとめるよう任命される。本格的な捜査に乗り出したマチューは、被害者の一人が夫に残した事故直前の留守電を聞いて、ブラックボックスの音と違うことに愕然とする。今、マチューのキャリアと命をかけた危険な探求が始まる──。
飛行機事故のたびに話題となるブラックボックス。これを分析する専門の方がいると知っていましたが、実際の仕事をこの映画で初めて目にしました。どんな些細な音の違いも聞き逃さず聞き分ける感覚、記憶力も必要です。安全を下支えしてくれる重要な仕事ですが、誰にでもできることではありません。繊細なマチューは、普段余計な音が耳に入らないように耳栓をしています。
冒頭は快適な空の旅を続けている機内が写り、そして事故に。マチューが別のヘリコプター事故を分析中の場面では、50ヘルツの違いを聞き分けるマチューが「再テストを」というのに上司が却下。わずかでも疑念があるなら飛ばさないでと思います。数々の航空機事故を思い出すと、墜落して生存するのはほんとに奇蹟なんですから。
映画は事故の真相を探りながら、欲や名誉に走る人間も映し出します。判断を間違ったことを認めて、さらに真実を追求するマチューはまた孤立してしまいます。驚愕の展開にドキドキしてください。(白)
ヤン・ゴズラン監督は、本作誕生のきっかけを、「航空機メーカー、航空会社、パイロットなど様々な関係者の間に巨大な経済的利益があるこの業界が、創造的で魅力的な映画の舞台になると思ったから」と語っています。フライトレコーダーの音声分析官の緻密な仕事に焦点をあて、サスペンスフルな人間ドラマに仕立て上げています。本作が実在の事故をモデルにしたものでないことから、国家機関であるBEA(フランス民間航空事故調査局)が全面協力。技術面だけでなく、分析官の仕事の進め方から生活のリズムに至るまで、さまざまな情報を提供してもらったとのこと。
フライトレコーダーが、通称ブラックボックスと呼ばれているのは、1930年代に使われ始めた時、写真フィルムに飛行計器の情報を投影するため、感光性のフィルムを遮光性の黒っぽい容器に入れていたことから。現在は、がれきの中で目立つようにオレンジ色で、光を反射する白のストライプがついています。公式サイトのイントロダクションのところに、実物の写真が掲載されています。
ピエール・ニネが、細かい神経が必要な仕事をこなす分析官を体現していて、実際の分析官の方たちも、自分たちの仕事に日の目があたって喜んでいるのではないでしょうか。(咲)
●主演ピエール・ニネ インタビュー映像はこちら。
2021年/フランス/カラー/シネスコ/129分
配給:キノフィルムズ
(C)2020 / WY Productions - 24 25 FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA - PANACHE Productions
https://bb-movie.jp/
★2022年1月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他全国で公開ロードショー
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