2021年12月16日

なれのはて

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監督・撮影・編集:粂田 剛 
出演:嶋村正、安岡一生、谷口俊比古、平山敏春

フィリピンの首都マニラの貧困地区。ここでひっそりと暮らす「困窮邦人」と呼ばれる高齢の日本人男性4人を、7年にわたって追ったドキュメンタリー。

嶋村 正 (62)
神奈川出身。元神奈川県警の警察官。フィリピーナにハマり、離婚してフィリピンへ。日本料理店のコック、旅行代理店などで働いていたが、脳梗塞で倒れたことで仕事ができなくなり、生活が困窮。フィリピン人の妻にも逃げられる。その後知人の紹介で偽装結婚の相手となり、わずかなお金をもらって暮らす。

安岡 一生 (58)
大阪出身。元証券会社勤務。証券会社を退職後、ゴルフ場の開発に絡んでフィリピンに来て、その魅力にハマり、居つく。いつしかマニラに遊びに来る日本人向けのガイドとして生計を立てるようになった。エルミタ・マラテ地区のカジノやKTV、置屋に精通している。内縁の妻クリスティと10年以上同居生活を送る。

谷口 俊比古 (64)
東京出身。元暴力団構成員、ドッグトレーナー。日本で或る「事件」を起こし、当時弟がいたマニラに逃げて来た。その後、中古自動車販売店を営んでいた弟が借金で夜逃げ、残された本人はお金も家も無く路上生活を送るハメに。その頃知り合った自転車店に出入りして仕事の手伝いをするうちに、軒下を掃除して、居候するようになった。

平山 敏春 (63)
福岡出身。元トラック運転手、建設現場の重機オペレーター。離婚してフィリピンパブにハマる。日本で仕事が無くなり、知人に誘われ移住を決意。有り金全部に、借金もしてマニラに来るが、そのお金は知人によってカジノに消えた。それからは知り合いの家を転々としながら、現場作業員やジープの呼び込みなどで稼いで細々と暮らす。そんな生活の中で知り合ったテスに惚れ結婚、子供もできた。

粂田監督は、2012 年から 2019 年にかけて 20 回ほどマニラを訪れ、1回につき 10 日から2週間の滞在で4人の「なれのはて」を追っています。かつては、日本に家族もいたのに、それぞれワケあって日本に帰国せず、マニラで人生の終焉を迎えようとしている姿が、なんとも痛ましく思えるのですが、本人たちは案外そうでもないのかもしれません。
スラムの人たちは、自分たちの生活で精一杯のはずなのに、頼る家族のいない日本人男性たちに何かしら手を差し伸べている様が見てとれます。この地に身をゆだね、様々なしがらみから解き放たれてはいるのでしょうけど、私にはとうてい真似はできないなぁ~と、みていてつらいものがありました。歯が抜け落ちたままの方が多くて、さらに哀れな印象を受けてしまいました。歯の悪いのを長らく放っておいた私は、今後はちゃんと綺麗に治療しなくてはと反省!(咲)


第3回東京ドキュメンタリー映画祭 長編部門グランプリ&観客賞

2021年/日本/DCP/カラー/120分
製作:有象無象プロダクション 
配給・宣伝:ブライトホース・フィルム
Ⓒ有象無象プロダクション
公式サイト:https://nareno-hate.com/
★2021年12月18日(土) 新宿K's cinemaにてロードショー! 以降全国順次公開




posted by sakiko at 03:01| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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