2021年11月28日
スティール・レイン 原題:강철비2: 정상회담(鋼鉄の雨2:頂上会談) 英題:Steel Rain 2:Summit
監督/脚本:ヤン・ウソク(『弁護人』)
撮影:キム・テソン
照明:ソン・ジェホ
美術:ヤン・ホンサム
音楽:キム・テソン
出演:チョン・ウソン、クァク・ドウォン、ユ・ヨンソク、アンガス・マクファーデン、白竜
長らく分断が続く韓国と北朝鮮。「平和協定締結」に向け、韓国のハン・キョンジェ大統領(チョン・ウソン)、北朝鮮の若き最高指導者チョ・ソンサ委員長(ユ・ヨンソク)、そしてアメリカのスムート大統領(アンガス・マクファーデン)による首脳会談が北朝鮮のウォンサン(元山)で開催された。北朝鮮と米国の間で意見が割れ膠着状態が続く中、風速90メートルを超える大型台風「鋼鉄の雨<スティール・レイン>」が接近していた。そんな折、北朝鮮の護衛司令部パク・ジヌ総局長(クァク・ドウォン)が、核兵器を放棄してアメリカと外交関係を結べば北朝鮮は破滅するとして、軍事クーデターを起こし、三首脳を弾道ミサイル搭載の原子力潜水艦「白頭号」に拉致監禁する・・・
冒頭、アメリカが日本と結託して、中国を政治的にも軍事的にも壊滅させる影武者作戦が語られます。実はそれは、北朝鮮が核を放棄すれば軍備の必要性がなくなってしまうため、なんとしてでも日本と中国を戦わせるよう仕向けたいアメリカの戦略だと、のちに明かされます。南北和平を取り持つフリをして、裏では次に儲ける方法を考えているという、いかにもありそうな話に唸ります。
緊迫感溢れる中で、チョン・ウソン演じるハン大統領が、バランス感覚のある対応で和ませてくれます。家では、数学教師の妻にいつも押され気味の大統領ですが、「(1953年に締結した朝鮮戦争の)休戦協定に、韓国は署名していない」という言葉には、妻もはっとさせられています。国連軍と中朝連合軍が署名し、韓国は署名していないのです。え?そうなの?と、私も知らなかった。
先日、文在寅大統領が国連総会の演説の中で、休戦状態の朝鮮戦争について終戦を宣言するよう北朝鮮、中国、米国に呼びかけましたが、韓国自体が休戦協定に署名していないという背景を知ると、複雑です。(咲)
朝鮮半島と日本、複雑な関係を理解していないと、けっこう難しい作品。
1953年の朝鮮戦争休戦協定に、韓国は同意していないということは思ってもいなかった。日本語の正式名称は「朝鮮における軍事休戦に関する一方国際連合軍司令部総司令官と他方朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令員との間の協定」というのだそう。だから北と南はいまだ分断されたままということなのですね。改めて思った。そして、1965年に締結された「日韓基本条約」は「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」が正式名称。日本と韓国との条約であって、北朝鮮とは締結していないということを、この作品を観て、改めて思った。それにしても潜水艦のなかでの攻防、ヒヤヒヤハラハラの連続でした。こんなことが実際起こったらどうなることやらです。領土問題をめぐって、こういうことになりかねない状況が出てきそうな世界情勢。人間の機知をあわせ世界平和を維持したいものですが、どうなることやら(暁)。
すぐお隣の国なのに、実はよく知らないような感じがします。学校の授業で学ぶことも少ないうえ、日本はアジアの隣人より欧米のほうを見がち。韓流、韓ドラの人気が高いのですから、もっと理解が進めばいいのにと思います。
この作品もそうですが、日本よりも韓国の映画人の方々が難しい題材を果敢に扱っています。自分の国の批判も忘れていません。ソウルを一度訪ねただけですが、いい思い出しかありません。コロナが収まったら再訪したい国です。次は映画を観たいものです。(白)
2020年/韓国/韓国語/132分/スコープサイズ/5.1ch
配給:ハーク 配給協力:イーチタイム
公式サイト:https://www.hark3.com/steelrain/
★2021年12月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
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