2021年11月27日
ナチス・バスターズ 原題:Krasnyy prizrak 英題:The Red Ghost
監督・製作・脚本:アンドレイ・ボガティレフ
出演:アレクセイ・シェフチェンコフ(『セイビング・レニングラード』)、ウラディミール・ゴスチューキン、ユーリー・ボリソフ(『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』『ワールドエンド』)、オレグ・バシリコフ、ポリーナ・チェルニショワ、ウォルフガング・セルニー(『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』)、ミクハイル・ゴレボイ、パベル・アブラメンコフ、コンスタンティン・シモノフ、ブヤチェスラフ・シクハリフ、ポール・オルリヤンスキー、ミクハイル・メリン
1941年、冬。ドイツ軍はソ連に侵攻したが、モスクワを目前に戦線が膠着していた。一匹狼のロシア狙撃兵が、ドイツ兵を次々と射殺しているらしいという噂が広まり、ドイツ兵はその正体不明の死神を《赤い亡霊》と呼び、いつ狙撃されるか分からない恐怖に怯えていた。
そんな中、頭に袋を被せられたロシア人の男がドイツの大尉の前に連れて来られる。負傷兵を癒すための役者だという。「芝居をして見せろ!」と命じられ、ヒトラーの演説の真似をするが、「笑えない」と怒鳴る大尉が、銃弾に倒れる。《赤い亡霊》が木陰から狙い撃ちしたのだ。《赤い亡霊》に助けられた5人のロシア兵の一行は、部隊とはぐれて味方の戦線に戻ろうと敵地を進んでいたのだった。一行の中には役者のほか、看護師で妊婦のベラもいた・・・
ヒトラー風の格好をしていてもドイツ語は話せないロシア人の役者。そして、ドイツの将校はロシア語を解さないので、多少ロシア語のわかる若いドイツ兵が通訳を務めるのですが、完璧な通訳はできません。人と人とが対面した、かつての戦争では、言葉が通じないことで誤解が生じて、殺しあうことになってしまったことも多々あるのではと思いました。
冗談の通じなさそうな四角四面のドイツ兵に対して、ロシア人の小話(アネクトード)好きを垣間見ることができました。イギリス兵とフランス兵とロシア兵が、ドイツ兵に捕まって、「最後の望みは?」と聞かれた時のお国柄の出た答え。別の話もあるよと、ほんとにロシア人は小話好き。
あと、圧巻は、看護師のベラが産気づいたとき、これまでに3回お産に立ち会っているというロシア兵が、みごと、男の子を取り上げる場面。戦地に臨月の身で参加していたとはと驚きます。
映画は、「名もなき戦士に捧ぐ」と終わりました。80年前、極寒の戦地で、命を落とした人たちを悼む作品でした。(咲)
冒頭からハラハラの連続で、緊張感が続きます。ドイツ軍のブラウン大尉はモデルばりのイケメンですが冷血。兵隊になったばかりのグンターは心優しい若者で、子豚を可愛がったり妊婦のベラをかばったりします。古参の兵はそんな彼にわざわざ辛い役目を押しつけ、戦争は人を歪ませるとつくづく思います。
5人のロシア兵が30人のドイツ兵と闘うときにブラウン大尉は入浴中で素っ裸。いちいち入るボカシが一緒に動き、きりりとした軍服姿と違って無防備で笑わせてくれます。どうしても酒が飲みたいロシア兵もいて、笑ってる場合ではないんですけどところどころにそんなシーンがありました。極寒の地で命がけの闘いを続ける戦争映画ですが、キレキレのエンタメ作品でもありました。(白)
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11/19公開 『1941 モスクワ攻防戦80年目の真実』
2020年/ロシア映画/ロシア語・ドイツ語/99分/シネマスコープ
字幕:仲村渠和香子
提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム
公式サイトhttps://nazisbusters.com/
★2021年12月3日(金)よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国順次公開
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