2021年10月27日
ほんとうのピノッキオ( 原題:PINOCCHIO)
監督/共同脚本:マッテオ・ガローネ
原作:カルロ・コロディ
脚本:マッシモ・チョッケリーニ
プロデューサー:ジェレミー・トーマス
撮影:ニコライ・ブルーエル
美術:ディミトリー・カプアーニ
衣裳:マッシモ・カンティーニ
音楽:ダリオ・マリアネッリ
出演:ロベルト・ベニーニ(ジェペット)、フェデリコ・エラピ(ピノッキオ)、ロッコ・パパレオ(ネコ)、マッシモ・チョッケリーニ(共同脚本/キツネ)、マリーヌ・ヴァクト(妖精)、ジジ・プロイエッティ(人形劇一座の親方)
貧しい木工職人のジェペットは丸太を手に入れて、一心に人形を作り始めた。話しかけると人形は喋り出し、足ができると歩き始めた。息子ができたと大喜びのジェペットは、ピノッキオと名付けてベッドカバーで帽子と洋服も作ってやった。自分の上着を売って教科書を買い、学校へ送り出す。ところがピノッキオは教科書を売って人形劇の公演を観に行ってしまった。人形劇の一座と別れたピノッキオは親方からもらった金貨を持って、ジェペットの家への道を探していた。そこにペテン師のネコとキツネがやってきて、もっと金貨を増やそうとピノッキオにウソを吹き込む。危ないところを妖精に救われるのだが…。
マッテオ・ガローネ監督はイタリアの裏社会を描いたクライムストーリー『ゴモラ』(2008)がカンヌ映画祭コンペティション部門でグランプリ、一躍有名になりました。原作は1883年に出版された「ピノッキオの冒険」です。世界中で知られている童話ですが、私も含めてイメージはディズニーのアニメーションでしょう。1939年制作だそうです。そんなに前からだったの!
原作はけっこう風刺もきいたダークファンタジーで、映画は原作にかなり忠実です。貧しく空腹、服は着た切り雀のジェペットの描写から始まります。ユーモアと悲しみが同居しているロベルト・ベニーニが適役。ベニーニは2003年公開の『ピノッキオ』を監督・主演していますが、そちらは未見。子どもの愛らしさに及ばないんじゃないかなあ。
ピノッキオは好きなように遊びまわり、ジェペットを死ぬほど心配させます。生まれたばかりで世間知らずなのに、よくウソをつき、妖精の家で鼻がどんどんのびて大騒ぎになります。長時間の特殊メイクに耐えたピノッキオのフェデリコ・エラピはじめ、不思議な生き物を演じた俳優たちと特殊メイクのマーク・クーリエの仕事に拍手。抑えた色味の泰西名画のような背景、登場人物の造形や衣裳も素晴らしいです。
ガローネ監督は6歳のときに「ピノッキオ」のストーリーボードを書いたそうです。映画化しようと原作を読み直して、満を持して送り出されたこの作品はこれまで観たピノキオとは大きく違っています。舞台は貧しく、厳しく、理不尽な世間。無知な木の人形が信じてくれる人を何度も裏切り、「楽な道を選んでは失敗」を繰り返します。苦労して少しずつ成長していく普遍的な物語は、現実を生きる私たちと変わりません。ピノッキオが人間の少年になるまで、応援しつつご覧ください。(白)
2019年/イタリア/カラー/シネスコ/122分
配給:オフィシャルサイト
copyright 2019 cARCHIMEDE SRL - LE PACTE SAS
happinet-phantom.com/pinocchio/
公式twitter:@Pinocchio_2021
★2021年11月5日(金)ロードショー
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください