2021年10月23日
ジョゼと虎と魚たち(原題:Josee)
監督・脚本:キム・ジョングァン
原作:田辺聖子
出演:ハン・ジミン(ジョゼ)、ナム・ジュヒョク(ヨンソク)
卒業を控えた大学生のヨンソクは、ある日、道端に倒れている車椅子の女性に遭遇する。壊れた車椅子と彼女を家まで送り届けたヨンソクは、お礼に夕飯を振る舞われる。足が不自由な彼女は祖母と二人で暮らしていた。自分をジョゼと呼んでという彼女の身の上と、豊かな知識と空想の独特な世界を知ったヨンソクはジョゼに惹かれていく。ジョゼもまた次第にヨンソクに心開くようになった。
原作は田辺聖子さんの短編小説。1985年に短編小説集に収録されています。2003年に犬童一心監督が同名で映画化し、好評でした。大学生の恒夫(妻夫木聡)、ジョゼ(池脇千鶴)2人の愛情の行方を見つめました。ジョゼの手料理が美味しそうで、糠漬けをしなくちゃと思ったものです。2020年公開のアニメ版はこちら。子どもも観られる明るいものになっています。
またリメイク?韓国で?と意外でしたが、キム・ジョングァン監督がぜひともと送り出した本作。皮肉屋で空想家のジョゼ、素直なヨンソクの性格は変わりません。ジョゼの家や部屋、2人を包む風景などが違ってまた新鮮に観ることができます。(白)
恥ずかしながら、犬童一心監督の『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)を予告編しか観たことがなく、もちろん田辺聖子さんの原作も読んでいない立場で本作を拝見。しっかり韓国を舞台にした、切なくて愛おしい物語でした。結末を知らなかったのは逆によかったと思いました。これから犬童一心監督作品を観てみたいと思います。そして原作も!
ジョゼという名前は、犬童監督作品が公開された時から気になっていたのですが、フランソワーズ サガンの小説の主人公の名前。「一年ののち」「すばらしい雲」「失われた横顔」がジョゼを主人公とする三部作だそうです。
韓国版のジョゼの暮らす一軒家は、海辺の町・木浦にある1980年代に韓国で建てられていた様式の平屋。とても趣があります。リヤカーを引いて段ボールや廃品を集めて日銭を稼ぐ姿や、ヨンソクの大学生の彼女が考試院(コシウォン)という簡易宿泊所で暮らしていることなどからも韓国らしさを感じさせられました。
紅葉、雪、そしてはらはらと散る桜と、四季折々の美しい風景も心に残りました。(咲)
2020年/韓国/カラー/シネスコ/117分
配給:キノシネマ
Original Film (C) 2003 "Josee, the Tiger and the Fish" Film Partners. All Rights Reserved.
(C)2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
https://movie.kinocinema.jp/works/josee/
★2021年10月29日(金)キノシネマ他、全国順次公開
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