2021年10月23日

スウィート・シング(原題:Sweet Thing)

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監督・脚本:アレクサンダー・ロックウェル
出演:ラナ・ロックウェル(ビリー)、ニコ・ロックウェル(ニコ)、ウィル・パットン(アダム)、カリン・パーソンズ(イヴ)、ジャバリ・ワトキンス(マリク)

普段は優しいのに酒を飲むと人が変わる父アダム。母親イヴが出て行ってから、父は酒浸りになってしまった。15歳の姉ビリーと11歳の弟ニコは母と恋人の暮らす家に行くが、居心地が悪い。ある日出会った元気な少年マリクとともに、彼らは逃走と冒険の旅に出る。世界はとても悲しい。でも、幸福な1日はある。3人は宝物のような一日を過ごす。

アレクサンダー・ロックウェル監督、25年ぶりの日本公開作品だそうです。1992年制作の『イン・ザ・スープ』は2006年リバイバル公開を見ていました。そちらの主演はスティーブ・ブシェーミとジェニファー・ビールス。当時監督夫人でしたが離婚しました。ウィル・パットンはブシェーミを翻弄するシーモア・カッセル(2019没)の弟役でした。『ミナリ』では十字架をかついでいました。今作ではアル中の父アダム、好きな歌手ビリー・ホリディの名前を娘につけています。
イヴを監督の妻で女優のカリン・パーソンズ、子どもたちを実の娘ラナと息子ニコが演じ、ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門で最優秀作品賞を受賞しました。少女から大人の女性に変っていくビリー役のラナがとても綺麗です。弟のニコも愛くるしく、自分の家族をこんな風にフィルムに焼き付けることのできたロックウェル監督、さぞ嬉しかったのではないかしら。守ってくれる大人がいない子どもたちの映画ですが、実は監督の愛情があふれています。16ミリのモノクロ映画中、子どもたちが幸せなシーンはさあっとカラーに変わります。父母の名前がアダムとイヴなのもミソ。(白)


なんと愛おしい映画なのでしょう。
始まりはクリスマス。パパはサンタのバイト中。
サンタに「銃とナイフをください」とお願いする弟ニコ。
サンタのパパはクリスマスツリーを抱えて帰ってくる。
恋人ボーのもとに行ってしまったママと、パパは久しぶりに中国料理店で一家団欒の時を約束していたのに、ボーも同席させるというのでおじゃんに。
ますます酒浸りになったパパは、断酒のために病院送りに。
夏、ママのいる海辺の彼の別荘へ。ニコがボーを相手に事件を起こしてしまった日、元気な少年マリクに導かれて、ビリーとニコは冒険の旅に出るのですが、マリクが実は悲しい運命を背負っていることを知ります。いろんな思いを抱えた3人の忘れられない一日・・・ どこか懐かしい曲の数々が心に響きました。(咲)


2020年/アメリカ/モノクロ+パートカラー/DCP/91分
配給:ムヴィオラ
Photo Credit: Lasse-Tolboll
公式Twitter→ https://twitter.com/sweetthing_eiga
http://moviola.jp/sweetthing/
★2021年10月29日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

ロックウェル監督から<メッセージ動画>とファンの質問に答える<スペシャルQ&A動画>が届けられ、『スウィート・シング』を上映する映画館での限定上映が決定しました。<メッセージ動画>は1週間限定、<スペシャルQ&A動画>は10/29&30の両日のみの限定上映の予定。詳しくはHPにて。
posted by shiraishi at 22:56| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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