2021年10月16日

彼女はひとり

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監督・脚本・編集:中川奈月
撮影:芦澤明子
出演:福永朱梨(戸田澄子)、金井浩人(勝沼秀明)、美知枝(波多野牧子)、中村優里(聡子)、三坂知絵子(戸田薫)、山中アラタ(戸田隆)

高校生の澄子はある日橋から身を投げた。しかし、死ねずに生還する。父は引っ越そうと言うが自分の意思で残ることを選び、1年留年して学校に戻ってきた澄子は、同級生となった幼馴染の秀明を執拗に脅迫し始める。身を投げる原因を作ったのは秀明であり、秀明が教師である波多野と密かに交際している秘密を握っていたのだった。その行為は日々エスカレートしていくが、そこには過去の出来事、そして澄子の家族に関わる、もうひとりの幼馴染・聡子の幻影があった…。

中川監督は、立教大学を卒業後、NCW(ニューシネマワークショップ)で映画制作を開始。立教大大学院映像身体学科で本作『彼女はひとり』を制作しました。
福永朱梨(ふくながあかり)さん演じる澄子の痛切な孤独が胸を打ちます。父親は死を選んだ澄子の気持ちがわかりません。八つ当たりのように秀明にいくら復讐したところで、空になった心は満たされず、なんともやりきれない思いで見続けました。
明日がなくてもいい、自分がいなくてもいい、という気持ちの裏側にはその逆の渇望があります。澄子の強いまなざしと絞り出すような叫びが観終わった後も残りました。福永朱梨さんは『本気のしるし』(2019年連続ドラマ/2020年劇場版)のみっちゃん。そちらでは失恋しても乗り越えられる女子でした。ネタバレ気味ですが、父親と秀明が澄子に「なぜ〈彼女〉が好きなのか」と聞かれて、同じ答えだったのになんだかムカつきました。私だけ?(白)


⼤学院の修了制作として撮影された学⽣映画と思って軽い気持ちで見たら痛い目に遭いました。60分の短尺にもかかわらず、主人公の抱える闇を見事なタイミングで少しずつ明らかにしていき、ラストで思いっきり爆発させます。この展開は予想の遥か斜め上をものすごいスピードで飛んでいく感じ。脚本を書いた監督の才能に驚かされました。主人公の澄子の苦しみを監督自身が経験したことがあるのではないかと思ってしまいます。
そして、その脚本をさらにいいものにしたのが主演の福永朱梨。誰からも愛されない寂しさから暴走していく澄子を怯むことなく繊細に演じ切りました。
2人の若き才能が今後、どう花開いていくか。楽しみでしかありません。(堀)


SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018国際コンペティション部門「SKIPシティアワード」受賞
TAMA NEW WAVE2019ある視点部門 / ドイツニッポンコネクション2019 / ちば映画祭2019
田辺・弁慶映画祭2019「俳優賞」受賞(福永朱梨)

2018年/日本/カラー/60分
配給・宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
配給協力:ミカタ・エンタテインメント(C)2018「彼女はひとり」
https://mikata-ent.com/movie/884/
★2021年10月23日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 13:03| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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