2021年10月16日
〈主婦〉の学校(原題:Húsmæðraskólinn)
監督・脚本・編集:ステファニア・トルス
製作・音楽・音響:ヘルギ・スババル・ヘルガソン
音楽:フリス
出演:アゥスロイグ・クリスティヤンドッティル(卒業生・1947年在学)、ラグナ・フォスベルグ(卒業生・1967年在学)、ラグナル・キャルタンソン(卒業生・1997年在学)、グズムンドゥル・インギ・グズブランドソン(卒業生・1997年在学)
世界最北の首都、アイスランドのレイキャビクに、1942 年に創立された伝統ある「主婦の学校」がある。寮での共同生活を送りながら生活全般の家事を実践的に学ぶことができる、一学期定員 24 名の小さな学校。かつて、義務教育後に進学の機会が少なかった女性たちを、良き主婦に育成することを目的としていた家政学校(花嫁学校)は、世界のあちこちにあった。その多くが衰退していくなか、この学校は、家政学校へと改称し、州立学校となった。1997 年に初めて男子学生を受け入れ、男女共学に。1998 年に国庫からの拠出金で運営される私立の学校となった。同年、マルグレート・ドローセア・シグフスドッティル校長が就任。レイキャビク女性協会のサポートを受けながら、現在も続いている。
「主婦になるために行くわけじゃない」「自分のことは自分で面倒を見られる人間になりたい」と、性別に関わりなく、「いまを生きる」ための知恵と技術を求めて学生たちが集まってきている。本作は、時代の移り変わりと共にその役割を変化させてきた「主婦の学校」に注目したドキュメンタリー。
〈今を生きるための、自立した人生を楽しむための術〉が、この学校で学べます。それは生きていくための基本の術で、男女関わりなく必要なもののはず。妻が亡くなったとたん、靴下のありかも洗濯機の使い方もわからない夫はいませんか?女の子だからと姉妹だけに家事を押し付けている兄弟は?コロナ禍で外出が思い通りにならず、巣ごもり状態の中もめたご家族は?
この作品に登場する元生徒の男性たちが、懐かしそうに思い出を語り「入ってよかった」と口をそろえます。楽しい家事を男性にも経験させてあげましょう。美味しいものが作れる、家で気持ち良くすごせる、工夫を生かせる丁寧な暮らし方はどんな時代であっても、心豊かにしてくれるもののはずです。
アイスランドは、2021 年世界経済フォーラム公表のジェンダーギャップ指数ランキングにて 12 年連続 1 位の “ジェンダー平等” が進んでいる国。日本は同ランキング 120 位です。国民の代表たる国会議員たちが、しばしばジェンダーについての失言でやり玉にあがっている日本では、まだまだ道は遠い…。しかーし嘆いていないでまずは身近から。(白)
2021 年世界経済フォーラム公表のジェンダーギャップ指数ランキングで 12 年連続 1 位のジェンダー平等が進んでいる国、アイスランドに<主婦>になるための学校があるとは!とタイトルに驚きましたが、この学校は1970年代に「家政学校」に名称が変更されましたが、監督が敢えて映画のタイトルに「主婦の学校」と昔の名前を復活させたそう。けっして、ここで学ぶ女性たちは良き花嫁を目指しているのではありません。入学理由も人それぞれ。しかし、ざっくり捉えればみな、“自立した生活を送るための術を身につけたい”ということ。登場する在学生は女性だけですが、過去には男性も学んでおり、学校初の男子学生だった卒業生の1人はアイスランドの環境・天然資源大臣となり、インタビューを受けています。きっとここで学んだことがその後の彼の人生に大きく影響を及ぼしたことは想像に難くありません。
結婚してもしなくても、家事ができることに越したことはありません。せめて、中高時代にもっと真面目に家庭科の授業を受けておけばよかったと思ってしまいました。(堀)
2020 年/アイスランド/カラー/ビスタサイズ/ステレオ/アイスランド語/ドキュメンタリー/78 分/DCP
後援:アイスランド大使館
提供・配給:kinologue
© Mús & Kött 2020
https://kinologue.com/housewives/
★2021年10月16日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー!
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