2021年10月10日
THE MOLE(ザ・モール) 原題:THE MOLE - UNDERCOVER IN NORTH KOREA
監督:マッツ・ブリュガー(『誰がハマーショルドを殺したか』)
出演:ウルリク・ラーセン
10年前、ブリュガー監督のもとに、コペンハーゲン郊外在住の元料理人ウルリク・ラーセンからメールが届く。謎に満ちた独裁国家、北朝鮮の真実を暴くため、自ら潜入捜査するので、それを追ったドキュメンタリーを作ってほしいという。
コペンハーゲンの北朝鮮友好協会に入会したウルリクはたちまち信頼を得て、2012年に協会の一員として北朝鮮を初訪問。文化省の高官カンに迎えられ、北への貢献を称えるメダルを授与される。ウルリクは、現地でKFA(朝鮮親善協会)会長のスペイン人アレハンドロ・カオ・デ・ベノスと出会う。アレハンドロの信頼を得たウルリクは、翌年新設されたKFAデンマーク支部の代表に任命される。2015年、アレハンドロから、北朝鮮に関心がある投資家を探すよう命じられたことをウルリクから報告を受け、監督は、かつてフランス軍の外人部隊に所属していた“ジム”という男を、ミスター・ジェームズという偽の投資家役に起用する。ウルリクとジェームズは、北朝鮮が生産する武器や覚醒剤の違法取引に深く関わり、実態を暴き出していく・・・
マッツ・ブリュガー監督は、映画デビュー作『ザ・レッド・チャペル』(2009)で北朝鮮の怒りを買い、入国禁止になっていて、北朝鮮での撮影は、ウルリク自身の隠しカメラによるもの。よくぞ見つからずに撮影できたと驚きます。怪しまれたら、拘束されるのは必至の北朝鮮。
ウガンダに秘密工場を建設する話が進み、北朝鮮だけでなく、スペイン、ヨルダン、カンボジア・・・と、要人との打合せに飛ぶウルリクたち。2019年、これ以上の潜入は危険との監督の判断により二人は潜入から身を引きます。10年間のスパイ活動を妻に明かすウルリク。「存在が薄くなって、しっかりしてと言いたかった」と、夫がスパイだったとは全く気づいてなかった妻。
『クーリエ 最高機密の運び屋』(9月23日公開)でも、妻たちは夫のスパイ活動に気がついていませんでした。スパイたるもの、まずは家族を欺くことが肝心なのだと、長年、まったく家族に気づかれなかったことに感嘆するばかりです。それにしても、この映画を北朝鮮などの関係者が観て、ウルリクたちに危険が及ぶのではと心配になりました。(咲)
2020年/ノルウェー、デンマーク、イギリス、スウェーデン/135分/DCP/映倫区分G/
協力:NHKエンタープライズ
配給:ツイン
(c)2020 Piraya Film I AS & Wingman Media ApS
公式サイト:https://themole-movie.com/
★2021年10月15日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
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