2021年10月05日
夢のアンデス 原題:The Cordillera of Dreams
監督・脚本:パトリシオ・グスマン
撮影:サミュエル・ラフ
編集:エマニュエル・ジョリー、パブロ・サラス
録音:アルバロ・シルヴァ・ウス、アイメリク・デュパス、クレア・カフ
音楽:ミランダ・イ・トバー/
出演:フランシスコ・ガシトゥア、ビセンテ・ガハルド、パブロ・サラス、ホルヘ・バラディットほか
チリでは、1970年の大統領選挙でサルバドール・アジェンデが当選。世界史上初めて、選挙によって社会主義政権が成立する。アジェンデ大統領は、銅産業の国有化など様々な改革政策を実施するが、保守派は反発。銅企業を無償接収された米国の後押しもあって、1973年9月11日、軍事クーデターでピノチェト政権が成立し、アジェンデ派は徹底的に弾圧された。その過程を追ったドキュメンタリー『チリの闘い』を撮影後、パリに亡命したパトリシオ・グスマン監督。
『夢のアンデス』は、『光のノスタルジア』『真珠のボタン』に続き、チリの歴史的記憶、政治的トラウマ、地理の関係を探る三部作最終章。
インタビューに登場するのは、アンデスの原材料を使って作品を制作する彫刻家のビセンテ・ガハルドとフランシスコ・ガシトゥア。歴史や小説の作家であるホルヘ・バラディッドは、現代のチリの社会・経済構造におけるピノチェトのプロジェクトの継続について語り、音楽家のハビエラ・パラは、子供の頃に目撃した暴力を思い出す。1980年代以降、政治的抵抗や国家による暴力行為を記録するために活動してきた映像作家であり、アーキビストでもあるパブロ・サラスはこう語る。「記録し、どんな時代だったのか次の世代に伝えたい。二度と過ちを繰り返さないために」
チリの国境に沿って、高くそびえたつ世界最長の山脈アンデス。
「2度と祖国で暮らすことはない」と話すグスマン監督にとって、忘れ得ぬ故郷の象徴。麓で起きる痛ましいできごとを、アンデスは静かに見つめ続けてきました。
『光のノスタルジア』『真珠のボタン』で、虐げられ悲惨な国民の姿とは裏腹に。えもいえない美しい映像に溜息をつきました。『夢のアンデス』でも、気高くそびえたつ山々に、目を奪われました。アンデスが見守る人たちが、心安らかに暮らすことができますように・・・ (咲)
2019年/チリ、フランス/85分/16:9/スペイン語
日本語字幕:原田りえ
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト:https://www.uplink.co.jp/andes/
★2021年10月9日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
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