2021年09月27日

カナルタ 螺旋状の夢 原題:Kanarta

2021年10月2日公開
カナルタチラシ_R.jpg
(C)Akimi Ota

シュアールの人々は、あなたが安らかな睡眠、良い夢、そしてあなたが本当に何であるかのヴィジョンを持つことを望むとき「KANARTA」と言います

監督・撮影・録音・編集:太田光海
サウンドデザイン:マーティン・サロモンセン
カラーグレーディング:アリーヌ・ビズ
出演:セバスティアン・ツァマライン、パストーラ・タンチーマ
制作協力:マンチェスター大学グラナダ映像人類学センター

セバスティアンとパストーラは、エクアドル南部アマゾン河流域の熱帯雨林に住むシュアール族。かつて首狩り族として恐れられたシュアール族は、スペインによる植民地化後も武力制圧されたことがない民族らしい。セバスティアンは尊敬されるヒーラー(霊能力者)であり、森にある未知の植物の効能に詳しい薬用植物学者でもある。彼の知識の継承も描かれる。アマゾン奥地でも環境汚染が問題になり、村長でもあるパストラは、村の代表として上の機関と交渉にあたる女性リーダー。
村人たちは日々森に分け入り生活の糧を得、共同でいろいろな作業をし、助け合いながら暮らしている。そして仕事の間の休憩時間や一仕事終わると口噛み酒を飲み交わす。ある種の覚醒植物なのかもしれない。泥酔することもある。文明が迫る中、原始的な生活を続けているが、今はその間で暮らしている。そんな原住民の文化と暮らしを描いている。

kanarta_main_R_R.jpg
(C)Akimi Ota

監督でもある太田光海さんは、東京都出身で、現在はイギリスに住む「映像人類学」の博士号を持つ研究者。自らこのシュアール村に長期滞在し、この村の人々の生活を記録し映画にした。それにしても原住民の人たちの、植物の知識の豊富さにはびっくりした。すべて体験や先祖からの伝承の賜物だと思うけど、ジャングルには、たくさんの人間に有用な植物があるのだというのが伝わってきた。この作品は熱帯雨林へのラブレターであり、ここでの体験と友情を記録した。新しい文化人類学の試みだと思った(暁)。

シュアール族の人々が、代々受け継いできた自然の恵みを生かした暮らしを大事にしていることに、科学技術が進み過ぎた世界はいつか行き詰るのではないかと感じさせられた。
太田光海さんが映し出した彼らの人生からは学ぶことが実に多い。
「医者の売りつける薬はとりあえず治してくれるが再発する」と、薬草の知識が豊富なセバスティアン。
「市場で買わなくても、ここにあるもので食事できる」と料理上手なパストーラ。
「ヴィジョンを持てば実現できる」が彼らのエネルギーの源泉。
竹を割って水を飲むセバスティアンの姿は圧巻! (咲)


『カナルタ 螺旋状の夢』公式HP
2020年製作/121分/イギリス・日本合作
配給:トケスタジオ
posted by akemi at 05:36| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください