上映情報
オリヴィエ・アサイヤス監督とホウ・シャオシェン監督
監督:オリヴィエ・アサイヤス
撮影監督:エリック・ゴーティエ
編集:マリー・ルクール
出演:ホウ・シャオシェン(侯孝賢)、チュウ・ティェンウェン(朱天文)、
ウー・ニェンチェン(呉念真)、チェン・グオフー(陳国富)、ドゥー・ドゥージー(杜篤之)、ガオ・ジエ(高捷)、リン・チャン(林強)
フランス・台湾/1997年/DCP/ステレオ/ヴィスタ/92分
オリヴィエ・アサイヤス監督が素顔のホウ・シャオシェンに迫る!
世界の巨匠たちに映画監督がインタビューを行うフランスのTVシリーズ「われらの時代の映画」。この番組で台湾ニューシネマをフランスに紹介してきたオリヴィエ・アサイヤス監督が台湾を訪れ、素顔の侯孝賢監督に迫った。取材当時、侯孝賢監督は『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(98)の脚本を執筆中だったというが、ゆかりの地を訪ねたり、関わりのある映画人とのインタビューにも一緒に参加し、監督の足跡をたどる。
侯孝賢監督が子供時代に住んだ鳳山を来訪したり、『童年往事 時の流れ』(85)、『冬冬の夏休み』(84)、『恋恋風塵』(87)、『悲情城市』(89)、『戯夢人生』(93)、『憂鬱な楽園』(96)の映像と共に侯孝賢監督とアサイヤス監督が作品にゆかりのある九份、十分、金瓜石、平渓、台北などをめぐり、侯孝賢監督と共に台湾ニューシネマを牽引した朱天文(脚本家)、呉念真(脚本家・監督)ら、映画人たちへのインタビューもあり、貴重な映像、懐かしい映像の数々が続く。
侯孝賢監督は、広東省から台湾に移住したこと、少年期の思い出、そして映画に対する思い、自身の映画製作のプロセスについて語る。最後にはカラオケで熱唱する侯孝賢監督の姿が流れる。さて歌っているのは…。
本作はINA (L'Institut National de l'Audiovisuel)により、オリヴィエ・アサイヤス監督の監修のもと、そしてアンスティチュ・フランセの協力を得て、デジタル修復された。
24年前に製作された作品。侯孝賢監督も、脚本家たちも俳優も若い!!
監督が青少年時代を過ごした鳳山を訪れ、家族のこと、博打に明け暮れた青春時代、兵役を経て映画界を志した日々を語りだした部分は貴重。その頃の悪ガキ仲間が集まってきた。『悲情城市』で侯孝賢作品にハマり、たぶん日本で公開された作品は全部観ていると思う。そして2008年に初めて台湾に行って以来、5回台湾に行ったけど、侯孝賢作品のロケ地、基隆、九份、十分、金瓜石、平渓線を訪ねて回った。特に九份と十分は5回とも行っている。そのくらいハマってしまった。HPにもロケ地探訪としてアップしている。
そしてこの『HHH:侯孝賢』は、2019年の東京フィルメックスで上映され、オリヴィエ・アサイヤス監督も来日した。
参照
* 『悲情城市』は基隆、九份、金瓜石が舞台。『恋恋風塵』は十分が舞台。
* 台湾ロケ地めぐり 平渓線沿線『台北に舞う雪』公開記念
*作品紹介記事
『親愛なる君へ』(原題:親愛的房客 )
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/482498596.html
*特別記事
『恋恋豆花』今関あきよし監督インタビュー
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/473658095.html
『トロッコ』川口浩史監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2010/torokko/index.html
『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』
姜秀瓊(チアン・ショウチョン)監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2015/saihatenite/index.html
本当は侯孝賢監督に関する「参照」に掲載したい記事はまだまだあるのだけど、このへんでやめておきます。興味ある方はシネマジャーナルHPトップページにある検索で「侯孝賢監督」と入れてみてください(暁)。
オリヴィエ・アサイヤス監督が本作の為に台湾を訪れたのは、1997年頃。侯孝賢監督の初期の作品のロケ地も、まだ撮影当時の面影をかなり残していて、それぞれの映画を思い出しながら懐かしく拝見しました。それでも台北の町には、高架を走る電車が見えて、私が訪れた1990年代前半とは違う風景。
自分は何人か?と問われ、中国人であり、台湾人であり、そして台湾の監督と答える侯孝賢。1947年、中国広東省梅県で生まれ、1歳の時に家族と共に台湾にやってきた侯孝賢にとって、中国の記憶はないから、このような意識なのでしょう。でも、侯孝賢のお祖母さんは、いつも中国の故郷に帰りたいと荷物をまとめていたそうです。両親にとってもお墓のない台湾は故郷とは思えなかったようです。国民党が共産党軍に敗れ、台湾に移動した1949年より前に大陸から台湾に来た人たちの中には、台湾は終の棲家ではなく、いつかは大陸に戻るという意識の人も多かったことがわかる言葉でした。
『童年往事 時の流れ』(85)は、大陸からやってきた父を幼かった侯孝賢少年の目線で語った作品。『風櫃の少年』(83)は侯孝賢自身の体験をもとに描いた作品。その他、『冬冬の夏休み』(84)、『恋恋風塵』(87)、『悲情城市』(89)、『戯夢人生』(93)、『憂鬱な楽園』(96)の撮影秘話も知ることができて、嬉しい一作です。(咲)
『HHH:侯孝賢』 デジタルリマスター版 公式HP
提供・配給:オリオフィルムズ 配給協力:トラヴィス 宣伝:大福
★『HHH:侯孝賢』公開記念トークイベント開催決定!
〇9/25(土) 宇田川幸洋さん(映画評論家)
〇10/1(金) 田村志津枝さん(ノンフィクション作家)※オンライン登壇
〇10/2(土)① 行定勲さん(映画監督) ② 市山尚三さん(映画プロデューサー、東京国際映画祭プログラミングディレクター)
〇10/3(日) 半野喜弘さん(音楽家・映画監督)
〇10/9(土) 阿部悦明さん、中村謙介さん(IMAGICAエンタテイメントメディアサービス)
〇10/10(日) 青井哲人さん(明治大学教授 建築史・建築論)
〇10/16(土) 秋山珠子さん(神奈川大学准教授・「侯孝賢の映画講義」翻訳者)/韓燕麗さん(東京大学教授・映画研究者)
〇10/17(日) 明田川聡士さん(台湾文学研究/獨協大学専任講師)
新宿K’sシネマにて同時開催!!
ホウ・シャオシェン&オリヴィエ・アサイヤス監督作品を特別上映
※『冬冬の夏休み』は本特別上映が日本最終上映となります※
※詳細は劇場HPをご覧ください。