2021年09月17日
素晴らしき、きのこの世界(原題:Fantastic Fungi)
監督:撮影:ルイ・シュワルツバーグ
脚本:マーク・モンロー
音楽:アダム・ピーターズ
ナレーション:ブリー・ラーソン
出演:ポール・スタメッツ(菌類学者)、マイケル・ポーラン(ジャーナリスト)、ユージニア・ボーン(フードライター)ほか
菌類は150万種。植物の6倍以上。菌類の中の2万種がキノコを作る。地下に張り巡らされた菌糸網の実のようなもの。カビや麹も菌類。動物や植物が死ぬと、菌類が分解し、養分に変え土に返していく。油も吸収し分解するので、原油が流出した海も救うことができる。菌類は45億年前に地球に現れ、地球上の生き物が死に絶えたときも生き延び、あらゆる生命体の母となった。70億の人間は菌類なくしては存在しえない。
ポール・スタメッツは子どものころ吃音がひどくて人と話せず、いつも下を向いて歩き、見つけたのが化石とキノコだったそうです。キノコに魅せられ興味は尽きず、現在も菌類を研究し、実験、栽培を続けています。
原生林のあちこちに生息しているキノコが成長するようすが高速度カメラで撮影され、一つ一つが愛らしく、美しく不思議です。原生林は菌類の宝庫なので、そこを守ることは人間を守ることに繋がると映画は知らせています。菌類のアオカビからペニシリンが発見されたように、菌類からは様々な病気、感染症に効果のある薬が作られています。そしてまだまだ未発見の物質があるのだとか。また学習して、そのネットワークで知識を共有する生物なのだそうで、学習しても今後に生かせない人間よりずっと賢くないですか?人間は菌類に学ぶべき。キノコ愛好家が多いのも納得でした。(白)
キノコを食べるのも好き、生えているのを見るのも好き。時には採集もするキノコ大好きな私にとっては、キノコや菌類の秘めたる魅力を堪能できた作品だった。
山に登ったり、山里を歩くと地面に生えていたり、倒れた木からキノコが出ているし、上を見れば、樹の幹にキノコがニョキニョキ、あるいはサルノコシカケのように幹の脇に皿がささったように突き出ていたりする。とにかくいろいろな色や形のキノコがある。山歩きを始めた頃は、「ああ、キノコが生えてるな。あのキノコは食べられるのかな?」と思いながら眺めているだけだったけど、後にはキノコの採集の講座にもでかけ、食べられるキノコを採集するのも楽しみになった。春から秋までいろいろなキノコを見かけるけど、もちろん秋が一番キノコが多い。そんなキノコを見ながら山歩きをするのも楽しかった。実際綺麗なキノコがたくさんある。この作品は、そんなキノコの世界を多彩な映像技術を使って、キノコの世界を楽しくみせてくれる。
そして、きのこ・菌類の秘めたる力も教えてくれる。食物としての魅力だけでなく、木や植物などを腐らせ分解し生きた土壌に蘇らせる力をもつ生態の可能性も探る。そして、キノコの魅力にハマった人たちの物語が面白い。それにしても、生命の再生や環境汚染の浄化、アルツハイマーや癌の治療にまで役立つって出てきて、さらにびっくり。これからいよいよキノコのシーズンだけど、今年もキノコが生えているところには行けそうもないので街でみるしかない。どんな天然キノコが店に並ぶか楽しみ(暁)。
◆予告編(1分30秒) https://www.youtube.com/watch?v=z_ncBhl3qS4
2019年/アメリカ/カラー/アメリカンビスタ/81分
配給・宣伝:アンプラグド
(C)2018, Fantastic Fungi, LLC
https://kinoko-movie.com/
★2021年9月24日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
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