監督・脚本:タナダユキ
撮影:増田優治
音楽:加藤久貴
主題歌:Hakubi
出演:高畑充希(茂木莉子/浜野あさひ)、柳家喬太郎(森田保造)、大久保佳代子(田中茉莉子)、甲本雅裕(岡本貞雄)、佐野弘樹(チャン・グォッ・バオ)、神尾佑(市川和雄)、竹原ピストル(川島健二)、光石研(浜野巳喜男)、吉行和子(松山秀子)
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福島県南相馬の古い映画館 朝日座。住民たちに長い間親しまれてきたが、経営が傾き閉館することになった。支配人の森田が解体前に残ったフィルムを焼却処分している。急に現れた女性は水をかけて火を消し、朝日座がなくなるのは困ると言う。女性は茂木莉子(もぎりこ)と名乗り、どうしても映画館を立て直したいと訴える。莉子はこの町に住み始め、住民を巻き込んで映画館の存続のために奔走し、森田も熱意に動かされていく。
莉子が朝日座にこだわるのにはわけがあった。高校生だった浜野あさひ(莉子)に映画の楽しさを教えてくれたのは、数学教師の田中茉莉子先生。居場所のなかったあさひを受け入れ、見守ってくれた大切な先生との約束を果たしにきたのだった。
福島中央テレビ開局50周年記念作品として、2020年10月に放映されたテレビドラマ版の前日譚。タナダユキ監督のオリジナル脚本。
実在の老舗の映画館を舞台に「映画愛」と「映画館愛」に人情をたっぷり盛り込んだ作品となりました。高畑充希さんが孤独な高校生役から、キャリアウーマンまで演じています。田中先生があさひに映画の蘊蓄を語り、いっしょに映画を観ては涙し、あさひは田中先生の想いを受け継ごうとします。コロナ禍で映画配給の仕事がなくなったという説明があり、映画館の窮状と同じくリアルな「今」を感じました。
朝日座の森田支配人を、監督がぜひにと口説き落とした柳家喬太郎師匠。震災、コロナと続く辛い状況の中でも生き抜く庶民代表のような人物です。あさひの恩師・惚れっぽくて涙もろい田中先生と外国人実習生のバオくん、不動産屋の岡本らとともに、人間味を加えて映画を温かくしています。古今東西の映画の名作も挿入されていますので、どの映画の1シーンか考えるのも一興。
2020年7~8月に南相馬で撮影され、ひとあし早くご当地で公開されています。(白)
2021年/日本/カラー/シネスコ/114分
配給:ポニーキャニオン
(C)2021「浜の朝日と嘘つきどもと」製作委員会
https://hamano-asahi.jp/
★2021年9月10日(金)ロードショー
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