2021年08月22日

ホロコーストの罪人 原題:Den største forbrytelsen 英題:Betrayed  

holocosut.jpg

監督:エイリーク・スヴェンソン
出演:ヤーコブ・オフテブロ、ピーヤ・ハルヴォルセン、ミカリス・コウトソグイアナキス

ノルウェー警察&市民がホロコーストに加担していた!

1942年10月26日、早朝。まだ薄暗い中、秘密警察を乗せたタクシーが一斉にユダヤ人宅に向かう。その日、ノルウェーに住むユダヤ人全員がオスロ港へと強制連行された。港で待ち構えていたのは、アウシュヴィッツへと向かう船“ドナウ号”だった。

リトアニアからノルウェーに亡命してきたユダヤ人のブラウデ家。次男チャールズは、ノルウェーを代表するボクサーとして活躍し、非ユダヤ人の女性ラグンヒルと結婚し、幸せな日々を送っていた。
1940年4月、ナチス・ドイツがノルウェーに侵攻。ユダヤ人は身分証明書にユダヤ人の印「J」のスタンプが押される。男性はベルグ収容所に連行され、過酷な労働を強制される。ブラウデ家もチャールズと兄イサクに弟ハリー、そして父ヘンツェルの4人が収容所に連行され、家には母サラと、チャールズの妻ラグンヒルが残される。スウェーデンに逃れた姉ヘレーンを追って、母もスウェーデンに逃れることを考えていた矢先、1942年10月26日の朝を迎える・・・

ベルグ収容所にいたチャールズは、「非ユダヤ人の妻に感謝しろ」と、アウシュヴィッツ行きを免れ、生き延びます。本作は、家族を引き離されたブラウデ家に焦点を当てて描いたマルテ・ミシュレのノンフィクションの原作を基に映画化したもの。エイリーク・スヴェンソン監督は、ノルウェー警察や市民がホロコーストに加担していたことを知って、過去のあやまちを知らしめ、今も世界にはびこる人権侵害に目を向けてほしいと警鐘を鳴らしているのです。
なお、事件から70年経った2012年1月、当時のノルウェー・ストルテンベルグ首相は、ホロコーストにノルウェー警察や市民らが関与していたことを認め、政府として初めて公式に謝罪の表明を行っています。
フランスでは、1995年にシラク大統領が、ナチス占領下のヴィシー政権がユダヤ人の強制連行に加担していたことを国家として認めて謝罪しています。
「当時の状況下では仕方なかった」ではなく、二度と過ちを繰り返すことのないよう、映画で描かれた悲劇を胸に刻みたいものです。
もちろん、匿うことで罰せられることも恐れず、ユダヤ人を救った人たちもいて、美談を描いた映画も数多く作られています。本作と同じ8月27日に公開される『沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家』も、後にパントマイムの神様と称えられたマルセル・マルソーが、ナチスに親を殺されたユダヤ人の子どもたちを助けた実話に基づく映画です。併せてご覧ください。(咲)

2020年/ノルウェー/ノルウェー語・ドイツ語/126分/カラー/ビスタ/5.1ch/PG12
日本語字幕:高橋澄
後援:ノルウェー大使館
配給:STAR CHANNEL MOVIES
©2020 FANTEFILM FIKSJON AS. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:https://holocaust-zainin.com/
★2021年8月27日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開




posted by sakiko at 13:04| Comment(0) | ノルウェー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください