2021年08月20日
クリーン、シェーブン(原題:Clean, Shaven)
監督・脚本:ロッジ・ケリガン
撮影:テオドロ・マニアチ
編集:ジェイ・ラビノウィッツ
音楽:ハーン・ロウ
出演:ピーター・グリーン、ロバート・アルバート、ミーガン・オーウェン、ジェニファー・マクドナルド
ピーターは自分の頭に受信機、指に送信機が埋め込まれていると信じている。頭の中には常にノイズが流れ込んで休まるときがない。施設を出た彼は母がいる実家に向かうが、会いたかった一人娘はそこにいなかった。里子に出されたという娘を、幼児の頃の写真を手に捜し歩くピーター。その跡を追う刑事がいた。同じころ、幼児が続いて殺される事件が起きて、容疑者として目をつけられていたのだった。
ロッジ・ケリガン監督の長編デビュー作。撮影監督としてフレデリック・ワイズマンに師事し、ミュージックビデオなどを手掛けてきた1993年に製作され、日本では1996年9月に劇場公開。今回25年ぶりにリバイバル公開となりました。主演は『ユージュアル・サスペクツ』『テスラ エジソンが恐れた天才』のピーター・グリーン。『マスク』(1994)で、ジム・キャリーの敵役で出演しています(これが映画初出演だったキャメロン・ディアスが可愛い)。
本作では幻聴にさいなまれる男の役です。今でいう統合失調症でしょうか。病気の原因は今もはっきりしないようですが、溜まったストレス、強いストレスが引き金になりそうです。本人が苦しんでいても、ほかの人間にはその辛さがわかりません。『閉鎖病棟 それぞれの朝』(2019)で綾野剛さんが演じたチュウさんもそうでした。薬とリハビリで快癒し、社会生活が可能になっていましたが、1993年ではまだまだだったはずです。
ピーターの頭の中では四六時中不快な音が鳴り響き、いつも誰かに監視されているという緊張と不安の中にいます。幻聴と幻視なのですが、これは拷問と同じですね。映画では誰にも受け入れられず、母親は厳しく実家も安らげる場所ではありません。そんな中で娘に逢うことだけを楽しみにしていたピーターの心が切ないです。ラストに少しだけ救われます。
ググってみますと統合失調症は100人に1人と言われているようです。軽重の差こそあれ、誰でもかかりうる病気です。今コロナ禍の中で、緊張と不安の中で暮らしています。疑心暗鬼に陥ったり、監視しあうのでなく互いの理解が進みますように。(白)
1993年製作/アメリカ/79分/PG12
配給:アンプラグド
(C)1993 DSM III Films, Inc. (C) 2006 Lodge Kerrigan. All Rights Reserved.
http://clean-shaven.com/
★2021年8月27日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
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