2021年08月11日

Summer of 85(原題:Ete 85)

summer85 pos.jpg

監督・脚本:フランソワ・オゾン
原作:エイダン・チェンバーズ「Dance on My Grave」(「おれの墓で踊れ」/徳間書店刊)
音楽:ジャン=ブノワ・ダンケル
出演:フェリックス・ルフェーヴル(アレックス)、バンジャマン・ヴォワザン(ダヴィド)、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(ゴーマン夫人)、イザベル・ナンティ(ロバン夫人)、フィリッピーヌ・ヴェルジュ(ケイト)、メルヴィル・プポー(ルフェーヴル先生)

1985年の夏、北フランスの海辺の町。友人のヨットで一人沖に出た16歳のアレックスは、強風で転覆し海に投げ出されてしまった。自分だけではどうすることもできずにいたところ、通りかかったダヴィドに助けられた。18歳の彼は頼りがいがあって楽しく、危険な魅力も併せ持っていた。純朴なアレックスは急速に惹かれていく。ダヴィドの母の船具店でアルバイトを始め、両親に不審がられることもなく、毎日ダヴィドと一緒にいられるようになった。しかし、自由奔放なダヴィドにはアレックスの一途さが重荷になり始める。海岸で出会ったケイトが2人の間に入ってきてしまい、嫉妬にかられたアレックスがダヴィドをなじり、大げんかになった。店を飛び出して帰宅したアレックスは、バイクで後を追ったダヴィドが事故死したのを知る。

原作通り、アレックスのモノローグから始まります。アレックスがダヴィドと出会って恋に落ち、一緒に過ごした輝く日々、そして永遠に別れてしまうまでの6週間が、ノルマンディーの海を背景に全編フィルム撮影で刻み込まれています。
フランソワ・オゾン監督が17歳のときに出逢い、いつか映画化したいと大切にしてきた原作「おれの墓で踊れ」。本作のオーディションでオゾン監督がフェリックス・ルフェーヴルを大抜擢。フェリックス・ルフェーヴル1999年生まれ、バンジャマン・ヴォワザンは1996年生まれで、2人とも次の作品が楽しみな若手俳優です。バイクに二人乗りするシーンは『マイ・プライベート・アイダホ』(91)のキアヌ・リーブスとリバー・フェニックスを思い出させます。
恋の歓喜と痛み、人の命の儚さを短い間に知り苦しむアレックス。原題の「(先に死んだ者の)墓の上で踊れ」という約束は、ほかの人間には死者を冒涜する行為としか思われません。文章を書くことで自分の気持ちを整理し、ようやくダヴィドの死と向き合います。2人の間にヒビを入れる原因となったケイトに悪気はなく、瑞々しい青春の光と影(歌がありましたね!)を描いて、心に残りました。この3人の若い俳優を支えるベテラン俳優たちも好演。
映像をさらに引き立たせる音楽は、THE CUREの「In Between Days」、ロッド・スチュワート「Sailing」。あー懐かしい。(白)


summer85_2.jpg

2020年/フランス/カラー/ヴィスタ/100分
配給:フラッグ、クロックワークス
(C)2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
https://summer85.jp/
★2021年8月20日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開!

posted by shiraishi at 23:19| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください