2021年07月25日

返校 言葉が消えた日 原題:返校

2021年7月30日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
劇場情報

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台湾戒厳令下の時代を描いたミステリー

監督・脚本: 徐漢強(ジョン・スー) 
製作:李烈(リー・リエ) 、李耀華(アイリーン・リー)

出演:
ファン・レイシン役:王淨(ワン・ジン)
ウェイ・ジョンティン役:曾敬驊(ツォン・ジンファ)
チャン・ミンホイ役:傅孟柏(フー・モンボー)
イン・ツイハン役:蔡思韵(チョイ・シーワン)
ホアン・ウェンション役:李冠毅 リー・グァンイー
ヨウ・ションジエ役:潘親御(パン・チンユー)
バイ教官役:朱宏章(チュウ・ホンジャン)

台湾で2017年に発売され大ヒットしたホラー・ゲーム「返校」を実写映画化したもの。台湾では1947年に「二・二八事件」が起き戒厳令が敷かれ、蒋介石率いる国民党が反体制派に対して政治的弾圧を行った。そして1987年に解除されるまでの40年間戒厳令下だった。国民に相互監視と密告が強制され、多くの人々が投獄、処刑された。この時代は「白色テロ時代」と呼ばれ、『悲情城市』(侯孝賢/ホウ・シャオシェン監督・1989年)や、『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(楊德昌/エドワード・ヤン監督1991年)、『GF*BF(原題:女朋友。男朋友 GF*BF)』(楊雅喆/ヤン・ヤーチェ監督2012年)などでも描かれているが、今作でジョン・スー監督は、台湾人が忘れてはならないこの負の歴史を背景にしたダーク・ミステリーを作り上げた。

1962年、国民党の独裁政権下の台湾。翠華高校に通う女子高生のファン・レイシンは放課後の教室で寝込んでしまい、目を覚ますと学校には誰もいなくなっていた。誰もいない校内を彷徨うファンは男子学生ウェイ・ジョンティンと会い、協力して学校からの脱出を試みるがどこからも外に出ることができない。ジョンティンは、政府から禁じられた本を読む読書会メンバーで秘かにファンを慕っていた。彷徨う二人は悪夢のような恐怖と闘うなか、学内で起こった政府による暴力的な迫害事件と、原因を作った密告者の哀しい真相に近づいていった。
この作品は2019年度台湾映画No.1大ヒットを記録。第56回台湾金馬奨で12部門ノミネートされ、最優秀新人監督賞を含む最多5部門受賞を獲得した。

『返校 言葉が消えた日』の話を聞いた時、ゲームが元で、ホラー作品というので、ゲームに興味がなく、ホラー映画が好きでない私は、別に観なくてもいいかなと思ったのだけど、「二・二八事件」事件を背景にした話と聞き、それは観ておかなくてはと出かけた。「二・二八事件」や「戒厳令下」を物語の背景や時代の背景に描いた映画は何本も観てきたけど、ホラーやミステリー仕立てで描いた作品というのは観たことがなかった。ホラーと聞いただけで、ただでさえ恐ろしいのに、「相互監視と密告が強制された時代」というのまで加わって、よけい恐ろしかった。ストレートな物語で観たかったけど、こういうのでないと観ないという人もいるとしたら、こういう形で歴史的な出来事を描いていくのも必要なことなのかもしれないと思った。なんせ台湾では大ヒットしたとのことなので。ま、私はホラーだけだったら観なかったけど、こういう歴史的事実は繰り返し、何かの形で伝えていかなくては忘れ去られてしまう。日本にもそういう出来事がたくさんある。戦争の悲惨さ、原爆の恐ろしさ、環境破壊や公害のことなど、これからもいろいろな形で、若い人たちに繰り返し伝えて行ってほしい。日本でも、戦前、戦中の言論弾圧があり、人々を戦争に駆り立ててしまったことがあったわけだから、ぜひそういう映画もできてほしい(暁)。


『返校 言葉が消えた日』公式」HP
2019年/台湾/カラー/103分/シネスコ/5.1ch/
字幕翻訳:岡田 美希 配給:ツイン    
宣伝プロデュース:ブレイントラスト
posted by akemi at 20:21| Comment(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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