2021年7月30日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
劇場情報
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
監督:内山雄人
音楽:三浦良明 大山純(ストレイテナー)
アニメーション:べんぴねこ
ナレーター:古館寛治
たたき上げ?権力志向?勝負師?
菅首相の素顔(スガオ)に迫る!
かつてない政治バラエティ映画が誕生!!
第99代内閣総理大臣・菅義偉。世界が未曾有のコロナ禍に直面する中、2020年9月14日、安倍晋三に代わる新たな総裁として、国民の命と激動の時代の舵取りは、この男に託された。官邸政治の闇や菅義偉(すが よしひで)首相(当時官房長官)をウォッチし、『新聞記者』『i 新聞記者ドキュメント』という社会派作品を送り出してきた映画プロデューサー・河村光庸が企画・製作・エグゼクティブプロデューサーを務め、“今、一番日本人が知りたい男”に迫る。「新聞記者」2部作で、官房長官時代の東京新聞記者・望月衣塑子さんとの会見でのバトルが有名になったが、菅義偉氏がこれまでどのように政治家としてやってきたのかというのは知られてあまり知られていない。安倍政権のNO2を長く務め、ついにトップの座についた「菅義偉」とはどんな人物なのか? 彼が進める政治の向こうに、報道からは見えてこない「ニッポンの現実」が浮かび上がってくる。果たして日本の将来はどうなっていくのか? ブラックユーモアを交えながらシニカルな視点で日本政治の現在を捉えた。
「世襲議員ではない叩き上げ」の首相の誕生で、“令和の田中角栄”といわれることも…。首相に就任してからは、携帯料金値下げ、ハンコ廃止、デジタル庁の新設など、一般受けする政策を行う一方で、学術会議の任命拒否や中小企業改革などを断行。国会で質問を受けても、不誠実な答弁を繰り返す姿は、政治への関心を国民から奪うための戦略なのではないかとさえ見えてくる。果たして、菅首相は何を考えているのか?
秋田のイチゴ農家に生まれ、上京。段ボール工場で働いた後に進学。国会議員の秘書、横浜市議会議員、衆議院議員を経て、その気配りと才覚で首相にまで登りつめた。安倍政権の官房長官時代は、無表情で公式見解を繰り返し「鉄壁のガースー」とも呼ばれた。側近たちを重用し、メディアをコントロールする「影の支配者」として君臨して、いつの間にか日本中が彼の思惑どおりに管理・支配されるのではないかという不安がよぎる。
ナレーターに古舘寛治を迎え、自由民主党の石破茂や村上誠一郎、立憲民主党の江田憲司、日本共産党の小池晃など、現役の国会議員、経済産業省出身・古賀茂明、元文部科学事務次官・前川喜平ら元官僚、そして、菅首相をよく知るジャーナリストの森功、元朝日新聞記者・鮫島浩という人たちが、それぞれの立場から、菅義偉の人間像や菅政権の目指すもの、日本の現状とその危うい将来を語る。さらに「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている法政大学の上西充子教授が登場。菅首相が国会で行なってきた答弁を徹底的に検証し、ポーカーフェイスの裏に隠されているものを探る。
しかし、いたずらに意義を唱えたり、スキャンダルを暴く政治ドキュメンタリーではなく、ブラックユーモアや風刺アニメを愉しみつつ、様々な角度から浮き彫りにされる、菅政権や日本の行方を考えてもらう政治バラエティ映画となっている。ふわふわに膨らんで美味しそうなのに中身はスカスカ、まるでパンケーキのような菅政権を作ったのは誰なのか? 有権者の皆さん、それに気づいていますか? 日本の未来はヒトゴトではありません。このままでいいのでしょうか? 観客に突きつける。
相次ぐ取材NGからスタートしたというこのドキュメンタリー。菅氏に近い自民党議員たち、マスコミ、評論家、さらにはホテルやスイーツ店までが取材拒否し、最初、スムーズには進まなかったという。そんな中、取材に応じてくれたのは、菅氏の半生を丹念に追いノンフィクション「菅義偉の正体」にまとめたジャーナリストの森功氏や、かつて自民党宏池会を担当した朝日新聞の記者鮫島浩氏などが登場。「庶民的で親しみ易い、秘書出身の気配りの人」と語り、アクアラインの通行料金や携帯料金、ふるさと納税といった政策で人々の心をつかんできたと分析。これらの話の中で一番面白かったのは、「国会パブリックビューイング」代表、法政大学上西充子教授の話。「議論の答えにならない、噛み合わない、不誠実で意味のない国会答弁を繰り返す」映像を見せながら解説するシーン。こうした答弁を続けることで、国民の政治に対する関心が失われることを狙っているのではと懸念する。もっともこれは前作「新聞記者」シリーズ2本でも繰り返し出てきた場面ではある。
「政治なんて人ごと」とは思わないけど、小選挙区制による、自民党に有利な選挙制度をいつのまにか作り上げてしまったことが、こういうことを生んでいると思う。私なんか、いくら投票に行ってもなかなか思う人が当選しないし、最近は出てほしい人が、自分の選挙区に出てこられなくなった。それで選挙にも行く意味を見出せなくなった。そういうのを狙っているのでしょうね。選挙に行くのもむなしい気持ちを抱えている私です。それでもこういう作品を作っている川村光庸氏のような人がいるということが、せめてもの希望。藤井道人監督『新聞記者(19)、森達也監督『i 新聞記者ドキュメント』(19)を始め、イ・チュンニョル監督のドキュメンタリー映画『牛の鈴音』(08)、ヤン・イクチュン監督の『息もできない』、ヤン・ヨンヒ監督の『かぞくのくに』(11)の配給や制作に関わった方なんですね。『MOTHER マザー』(20)、『宮本から君へ』(19)、『あゝ、荒野』(16)などの話題作は観ていないけど、最新プロデュース作は吉田恵輔監督作『空白』(21)を観てみたい。監督の内山雄人氏はテレビマンユニオン所属の方で、主にTV界で活躍してきた人。情報エンターテインメントやドラマ、ドキュメンタリー等、特番やレギュラー立ち上げなどで活躍しているとのこと。「歴史ドラマ・時空警察」「世界ふしぎ発見!」など好きです(暁)。
いや~、面白いドキュメンタリーでした。
菅義偉首相が誕生した時、安倍さんが体調を崩して降りると言って、棚ぼたで首相になったという感を否めませんでした。消去法で菅さんか・・・と。官房長官を長く務めていらしたのに、存在感がなくて、正体不明。そも、(すが よしひで)とフリガナが振ってなければ、お名前の読み方もわからない。選挙の時には不利だと思うのに、ここまで上り詰めたということは、それなりに人を惹きつけるものがあったのでしょう。
横浜市議会議員時代に、アクアラインの通行料金値下げや、みなとみらい開発に尽くしたということなど、確かな実績をお持ちなことには、ちょっと感心しました。
それにしても、菅さん、正体不明。何をお考えになっているかも、結局、よくわかりませんでした。
一方で、若者がなぜ自民党に投票してしまうのかのヒントになるような、若い人の声も出てきて、興味深かったです。日本がこの先どうなるのか・・・ いい加減な政権を作ってしまったのは、私たち国民にも責任があると、ドキッとさせられた次第です。(咲)
記者会見や国会の答弁を見て、質問の答えになっていない空疎なことばのくりかえしにイラっとした人多いでしょう。そうやってはぐらかしても、追求していく人はまれです。慣れたらいけません。
そんな中、この映画に出演し、苦言を呈してくれた政治家のみなさま、えらい。覚えておきます。最近「役人が最も嫌いな言葉は”責任”」とどこかで目にしました。昔なら責任をとるということはトップが切腹=死ぬことでした。今は現場の人間に押し付けて、上は変りません。
私たちができることと言えば、先人が必死で獲得してくれた選挙権を行使すること。直接参加できる唯一の機会なのに、しないでどうしますか。「入れる人がいない~」と言う人、今のままでいけないと思うなら反対側に投票するの!その人がたとえ当選しなくても、反対意見を表明したことになるでしょ。
この作品はとても親しみやすい方法で、笑うところも混ぜ込みつつ、大事なことを見せてくれています。政治なんてわかりません、という方ほどぜひ。(白)
『パンケーキを毒見する』予告編
『パンケーキを毒見する』公式サイト
2021年/日本映画/104分/カラー/ビスタ/ステレオ
制作:テレビマンユニオン
配給:スターサンズ 配給協力:KADOKAWA
©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会
*シネマジャーナルHP 特別記事
『パンケーキを毒見する』内山雄人監督インタビュー記事
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/pancake-movie.html
2021年07月25日
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