2021年07月17日

かば

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制作総指揮・原作・脚本・監督:川本貴弘
主題歌:騒音寺
出演:山中アラタ(蒲先生)、折目真穂(加藤先生)、近藤里奈(由貴)、辻 笙(良太)、さくら 若菜(裕子)、松山 歩夢(繁)、木村知貴、高見こころ、牛丸亮、石川雄也、安永稔、山本香織、皷美佳、浅雛拓、髙橋瑞佳、趙 博、島津健太郎、白善 哲、徳城 慶太、染谷 有香、竹田 哲朗、中山 千夏ほか

阪神タイガースのリーグ制覇に沸く1985年の夏、被差別部落が隣接する西成区北部の中学校。人々の差別と偏見、貧困など多くの問題を抱えた環境の中で、生徒たちは荒んだ学校生活を送っている。蒲先生(43歳/山中アラタ)ら教師たちは手を焼いていた。
ある日、臨時教員として加藤 愛先生(23歳/折目真穂)が赴任してくるが、初日から生徒に受け入れてもらえず自信を喪失。先輩教師の蒲先生は「今、子どもらは加藤先生を試しとるんや、ただ教師と生徒の関係ではアカンねん」と、得意の野球で生徒と向き合うことを勧める。
案の定、反発する野球部員は「勝負に勝てばコーチとして認める」と豪語するもあっさり敗北。そのうち加藤先生はチャーコという愛称で呼ばれるようになる。
登校拒否になった転校生。家庭を顧みない母親、酒浸りで在日朝鮮人の父と暮らす女生徒。出身地を恋人に告白することができない卒業生。服役中の父親に代わって家庭を支える野球部主将。蒲先生ら教師たちは、それぞれの事情を抱えた生徒たちと正面から向き合い、時には生徒の家庭へ強引に入り込んでまで、彼らの生き方を模索する。

実在した「かば」と呼ばれるベテランの蒲先生を中心に同僚の先生たちが、問題だらけの生徒たちと向き合う姿を描いてます。生徒に現れる問題は、実は家庭の中、大人たち、ひいては社会の問題です。蒲先生はそれでも自分にはどうにもできないと諦めることなく、「あの子たちに出逢えてよかった」と言い合える同僚たちと、目の前の子どもたちに真剣に向き合ってきました。
2010年に58歳で亡くなった蒲先生の葬儀には学校関係者だけではなく、卒業生や住民たちなど蒲先生を惜しむ人たちが何百人も集まったそうです。川本監督は2014年から2年半にわたり綿密な取材を続け、7年余りかかってこの映画を完成させました。台詞は取材で集められた生きた言葉です。蒲先生に負けず劣らず熱い川本監督に、詳しいお話を伺いました。
こちらです。http://cineja-film-report.seesaa.net/article/482421995.html
自分が子どもだったころ、お世話になった懐かしい先生たちを思い出して思わず涙腺緩みました。DVDや配信の予定はありません。どうぞ劇場でご覧ください。(白)


この映画の舞台、大阪西成。労務者の街として、ニュースに出てきたり、映画や小説などの舞台にもなってきた。でも学生と先生を主題にした映画というのは、これまでほとんどなかったかもしれない。社会の吹き溜まりのような場所ともいわれる西成。貧困、出自、偏見、校内暴力、すさんだ家庭など、過酷な環境のなかで生活する人々がいて、家族、そして学校も当然ある。そして、よりよい未来、生活、コミュニティを築くために活動していた蒲益男さんという先生がいた。とても感動的な実話を映画にした作品だった。
これまで、この西成というと、「あいりん地区」「釜ヶ崎」と呼ぶことも多く、日雇い労働者が多く集まる街、安宿のドヤ街、炊き出しというイメージで、家族が住み、学生もいるというイメージはなかった。この作品で、家族もいるし、子供もいると、改めて思わせてくれた。この時から35年もたっているけど、今の西成地区はどんな感じなんだろう。
東京から大阪アジアン映画祭に通って10年くらい。ここ数年は全日参加するために、大阪に7,8泊することがある。最初の数年は梅田周辺に宿を取っていたけど高いので、ここ数年は宿代が安い西成地区にも泊まっている。大阪出身の人には「あの地域は治安も悪いし近づかないほうがいい。大阪人は近づかないよ」と言われた。それでも一度行ってみたかったので、5年くらい前に初めて西成(駅は新今宮)のホテルに泊まった。酔っぱらったオジサンが街をウロウロしているんじゃないかとか、ヒヤヒヤしながら行ったけど、そんな危険性は感じなかった。そして外国人がけっこう泊まっている。でも歩いていて、街中にタバコの匂いがただよっていたのには閉口した。ホテルは一泊2800円くらいのところに泊まった。3年くらいはそこを利用していたけど、やはり安いだけあって机とかなく、パソコン作業などもやりにくいし、風呂が12時くらいまでで、あとはシャワーしか使えなかったりして不便なので、去年はとうとう十三(じゅうそう)のホテルにした。なので、ほんの3,4年の旅行者としての経験しかないけど、西成は「そんなに危険な地区ではない」という印象を持っている。
そんな目でこの作品を観ると、やはり現代は街も変わっていて高いビルもあるのに、この映画ではそれが映っていない。通天閣を遠くから見ると、高い建物もあるはずなのになと思っていたら、CGでだいぶなくしていたのですね。1985年の街になっていると思いました。また映画の中では川が随分出てきたけど、私はあのあたりで川を見たことがなかったので、どのあたりを撮っていたのか気になっている。地図を見た限りでは西側のほうに川があり、その先が海のようだった。そして海に沈む夕日が素敵だった(暁)


2021年/日本/カラー/135分
配給:「かば」製作委員会
(C)「かば」製作委員会
https://kaba-cinema.com/
2021年7月24日(土)より新宿 K’s cinemaほか全国順次公開
posted by shiraishi at 08:41| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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