2021年07月04日

サムジンカンパニー1995(英語題:Samjin Company English Class) 

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監督:イ・ジョンピル
出演:コ・アソン(イ・ジャヨン)、イ・ソム(チョン・ユナ)、パク・ヘス (シム・ボラム)、キム・ジョンス(ポン部⻑)、ペク・ヒョンジン(常務)、デヴィッド・マクイニス(社⻑)

1995年ソウル。大手メーカーのサムジン電⼦⽣産管理3部イ・ジャヨン、商業⾼校出⾝8年⽬。マーケティング部 チョン・ユナ、アイデアにも優れている推理⼩説マニア。会計部 シム・ボラム数学⼤会で優勝の経歴を持つ数字の天才。3人は高卒で入社した同期。今年で勤めて8年になる。上司の男性や大卒女子も負けないほどの実務能力がありながら、いつもお茶くみや書類整理・補佐役に甘んじている。そこへ会社の方針でTOEIC600点を超えたら「代理」に昇進できるチャンスが到来!? 高卒女子たちはステップアップを夢見て邁進する。
ジャヨンが偶然出先で、自社工場が有害物質を川に排出していることに気づいた。さっそく上司の男性を通じて報告するが、会社側は問題ないと言うばかり。ジャヨンは親友のユナとボラムに相談し、ボラムの計算で基準値を大きく超える量だと知った。住民には明らかに健康被害が出ている。3人は愛社精神と正義感から、真相解明に向けて奔走する。

ロードムービーならぬ労働ムービー。1991年に起きた、斗山電子のフェノール流出による水質汚染事件がモデルになっているそうです。学歴が重視され、高卒女子が不遇をかこっていた時代のエピソードも盛り込まれています。
背景となる会社の内部も綿密な時代考証がなされて、デスクトップ型のパソコンの並ぶフロア。32ビットのロゴやレイアウトに、ああそうだった(エンドロールも見てね)。肩パッドの入ったスーツ、カーラーで巻いた前髪、カモメのような眉、ファッションやメイクも懐かしい。
主人公となるジャヨン、ユナ、ボラムの3人の性格付けとキャストの好演により、観客は自分のことのように共感して行動を見守ることになります。何度も壁にぶちあたりながらも諦めず、少しずつ協力者を得ていきます。なかなか黒幕にたどり着かないのにハラハラし、ラストに向けて盛り上がっていくのに快哉。仕事に誇りを持ちたいジャヨン役のコ・アソンは『グエムル 漢江の怪物』(2006)で、ソン・ガンホの中学生の娘でしたね。怪物に襲われる寸前のポスターを思い出します。姉御肌のユナ、可愛いだけでないボラムの3人をまた見てみたいです。
働く女子にも生きづらさを感じる人にも、贈り物になるような台詞がたくさんありますので、どうぞ聞き逃しのないように。(白)


物語の舞台になっている1995年といえば、1月に阪神淡路大震災の起こった年。思い返せば、インターネットが急速に普及し始めた頃ですが、この映画の中でポケベルが出てきて、携帯電話はまだそれほど普及していなかったことに思い当たりました。公衆電話から国際電話をかけるのに、小銭をたくさん用意している姿にも、そんな時代だったと懐かしく思い出しました。
そして、日本の会社と文化が似ているなと思ったのが、体操の時間。サムジンカンパニーでは、始業前の朝の時間に体操をしています。もっとも、私が勤めていた会社では、1975年に入社して数年は一斉に3時に体操をしていましたが、いつしか誰もしなくなって、音楽だけが空しく轟いていました。
また、女子社員が一斉にコーヒーを入れている姿には、お茶汲みが女子社員の仕事だった頃を思い出して、当時のちょっと悔しかった気持ちが蘇りました。私の勤務していた会社では、1991年に移転したのを機に、給茶機が設置されて、社員へのお茶汲みは廃止になりました。
サムジンカンパニーの女子社員たちは、責任ある仕事を任されない悔しさをバネに、英語の勉強に励み、あげくは自社の工場が有害物質を垂れ流していることを追求します。あっぱれな姿に、スカッとしました。男たちよ、女性を甘く見ちゃいけないですよ! (咲)



2020年/韓国/カラー/シネスコ/110分
配給:ツイン
(C)2020 LOTTE ENTERTAINMENT & THE LAMP All Rights Reserved.
https://samjincompany1995.com/
★2021年7月9日(金)シネマート新宿、シネマート⼼斎橋ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 17:01| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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